荷主の協力が不可欠

トラック運送事業の働き方改革、長時間労働改善などに関係する会議が先週、3つほど開かれた。

まず1つはトラック運送業の適正運賃・料金検討会だ。長時間労働を是正するためには、先立つものが必要であり、その原資を適正運賃・料金に求めようとする動きだ。

国土交通省では、トラック運送機能を持続可能とするためには、トラック運送にどのような費用が必要となるのかについて、トラック事業者と荷主の間で理解の共有が不十分と判断。その理解を形成するため、トラック運送業の費用についての手引書を作成中だ。

19日の会議では、その手引書の方向性のようなものを提示した。

トラック運送業を営む上では、車両の購入・更新、点検・整備等のメンテナンス、ドライバーの確保、燃料費、保険への加入など、様々な費用が必要となる。これらのコストを確保できないと、経済活動と国民生活を支えるトラック運送機能が維持できなくなる恐れがあるのだ。

もう一つの会議は、首相官邸で20日開かれた、自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議だ。自動車運転者にも、一般産業と同じく罰則付きの時間外労働の上限規制が導入されることが決まったが、劣悪な労働条件で人手確保に苦しむ自動車運送事業の働き方改革を政府あげて支援しようと、設置された会議だ。

連絡会議では、今春を目途に行動計画をまとめる予定で、その行動計画を策定するに当たり、20日の会議では、基本的な考え方と重点検討項目を決めた。

基本的には、昨年8月に同会議が打ち出した「直ちに取り組む施策」に記載された施策のさらなる具体化・深掘り・前倒しを図るが、とくに重点を置く項目として、①発・着荷主や元請けなどの協力確保②長時間労働是正のための輸送分野別の取り組み強化――をあげた。

3つ目の会議は、取引環境・労働時間改善中央協議会だ。まさに②の具体化に取り組んでいる会議で、22日の会議では、2016年度のパイロット事業の好事例を「プレガイドライン」としてまとめ、横展開、定着を図ることにしている。

3つの会議を通していえるキーワードは、「荷主の協力」ではないか。トラック運転者の労働条件改善には、荷主の理解と協力が不可欠だ。会議では、「ホワイト経営に取り組む荷主企業を顕彰する制度をつくるべきだ」と荷主を巻き込んでの取り組みの必要性を主張する意見もあった。荷主所管省庁と国交省の連携強化に期待したい。