地域の課題解決へ強力連携

近畿圏の行政5機関が2024年問題の解決へ連携協定を締結した。地方支分部局の5機関が連携協定を締結するのは初めてだ。トラック運送業所管の運輸局、荷主所管の経済産業局、農政局、労働時間管理の労働局、さらに適正取引を管理する公正取引委員会が加わることで施策の円滑化を図る。
2024年問題は構造的な課題であり、中長期的視点による「物流革新」のスタートとの機運が高まっている。改正改善基準告示の施行、時間外労働時間の上限規制適用のタイミングをとらえ、連携を深める狙いだ。
物流革新に向けた政策パッケージを受け、省庁間の連携は強まる。とくに商慣行是正、取引適正化に向けては国土交通省、厚生労働省、さらに中小企業庁、公正取引委員会も荷主対策に踏み込んでいる。
今月3日の自民党トラック輸送振興議員連盟総会で、全日本トラック協会の坂本克己会長はこれら動きに触れながら、悪質荷主への対処を求め、荷主所管の経済産業省、農林水産省に一段の取り組みをと発破をかけた。
確かに荷主対策は「深度化」されているが、荷主の行動がなければ前に進まない。トラックの低い価格転嫁率や、長時間の荷待ちをはじめとした荷主の違反原因行為も後を絶たないのが現状である。
物流課題は地域独自の実情もある。厚労省の荷主対策では3月末まで荷主に対し1万2800件の要請を行った。長時間の荷待ち是正と改正改善告示の周知が主な内容だが、地方協議会などを通じて得られた地域の特定業種に対する物流効率化を念頭に置いた取り組みも多く、そこからは改善事例もみられる。
物流事業者の負担が多い農林水産品・食品流通では、農林水産省が物流対策本部の下に設置した官民タスクフォースが全国の産地、卸売市場で物流改善を後押しし、未だ取り組みが進まない現場は掘り起こしを行い、改善策を確認している。
今回の近畿圏の連携協定はそうした地域特性も踏まえ、現場の実態を反映させ5機関が緊密に連携することで、荷主の行動、具体的な改善策につなげるものだ。
連携事項では補助制度などの説明会の共催を検討するほか、価格転嫁対策や取引環境改善などそれぞれの集中対応時期や重点事案について連携を図るという。荷主対策も広く情報を共有することで施策の実効性が高まる。他地域への波及も促したい。