好事例の横展開促す、厚労省荷主対策

要請3月末1万2808件

時間外労働時間の上限規制が4月から適用され、トラック長時間労働の要因の1つである荷主等による恒常的な荷待ちの是正が急がれる。厚生労働省の「長時間荷待ちに関する情報窓口」には3月末までに1022件の情報が寄せられた。これらをもとに労働基準監督署が荷主等に行う要請は3月末で1万2808件にのぼる。そこからは改善策による好事例も確認され、要請時に併せて周知し横展開を促す。
厚労省による「荷主対策特別チーム」は昨年1月の稼働から1年間で1万1138件、直近の3月末まで1万2808件の要請を実施。「長時間の恒常的な荷待ち時間を発生させないよう努める」、「運送業務の発注担当者に改善基準告示を周知する」ことを労基署から配慮要請するもの。同じく昨年1月に開設した情報窓口への件数が増加傾向であるほか、運送事業者への立入調査時の情報、国土交通省の目安箱、地方協議会などを通じた地域独自の情報と幅広く収集、要請件数が増えている。昨年10月からは国交省の「トラックGメン」と連携し、要請情報の拡充、労働局の荷主特別対策担当官のGメン「働きかけ」への参加、労働局による要請時の「標準的な運賃」の周知など連携を強化している。厚労省の要請は国交省の荷主対策のような報告義務はないが、要請時に荷主から具体的な改善策の要望があれば、労働局の適正化指導員がコンサルタントを実施する。実際に要請後の改善事例も聞かれる。これら好事例を取りまとめており、要請活動時に併せて周知させている。
●荷主要請が荷待ち改善につながった事例
具体的には「運送会社のドライバー全員にアンケートで集約した意見を基に、発荷主、着荷主、輸入業者にも協力を依頼し時間外労働時間が約20%減少」(倉庫業)、「高速道路運賃増額への対応、プラットフォームの増設」(製鋼業)、「顧客への着荷時間の変更要請、高速料金の代金への上乗せ」(化学工業)など。荷主要請は情報収集のほか、地域特性を考慮して行うケースも多い。ある食料品製造業への要請では労基署管内に同事業者が多く存在し、地域全体の輸送効率化へ重点的に要請を実施。「箱詰め作業の前倒しで荷待ち時間を1日2時間削減」、「小口便から大口便に切り替え集荷回数を約2割減少」など事例が聞かれた。ある製糖業への要請では労基署が地域の農協や元請けにも要請内容を伝え協力を求め、次期収穫期で「大型輸送車両の導入による総稼働台数の削減」、「原料の受入期間拡大による業務量の平準化」を行うとした
●ポータルサイトPVが急増
厚労省の「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」は月間ページビューが2万5千~3万5千件だが、今年に入り1月と3月は17万件前後と急増。上限規制や改正改善告示など関心の高さがうかがえる。また、「荷主と運送事業者のためのトラック運転者の長時間労働改善特別相談センター」では880件の相談に対応。うち、トラック事業者(労務管理者)538件、荷主は39件とトラックが大半を占め、ドライバー個人や、白ナンバー関係からの相談も確認している。相談内容は改善基準告示の内容484件、労務管理174件、その他(各種助成金など)185件。
同センターは3月末までで、問い合わせは労基署、働き方改革支援センターで受ける。改善告示施行後の相談増も想定され、当初センターで機能した訪問コンサルタントなどニーズの状況を見据えながら対応していく。