厳しい局面こそ改革を

物流業界が厳しい局面を迎えている。陸運大手の4-12月期決算では、適正運賃収受による単価上昇が反映されたものの、取扱数量の減少傾向や営業費用の増大により総じて伸び悩み、通期予想の下方修正も相次いだ。経営環境の変化が著しい中でさらなる改革が迫られる。
4-12月期の大手各社業績は前年同期比で日本通運が減収減益、ヤマトホールディングスは売上高横ばいで減益、SGホールディングスは増収増益、日立物流は減収営業増益などである。
直近の10-12月の売上高をみると、日通5・8%減、ヤマトHD2・3%減、SGH0・4%増、日立物流7・5%減となっており、4-12月累計より増減率は悪化している。
こうした中で日通は「国内企業収益の下振れで荷動き悪化が当面続き、国際貨物の輸送需要の減少も当初の想定以上」とし、通期予想を売上高で300億円、営業・経常益で80億円、純利益で50億円下方修正した。
ヤマトHDは「消費増税の影響など荷動きが低調な中、宅急便取扱量が弱含み推移」とし、売上高で400億円、営業・経常利益は220億円、純利益は120億円下方修正。日立物流はバンテックグループや中国・アジア地域のフォワーディング事業の状況を踏まえ、売上高を100億円下方修正した。
足元の1月景気指標を見ると、帝国データバンクの調査では暖冬で季節商材が薄れ、運輸・倉庫業の景気DIは7年振りに30台に落ち込む結果となり、先行き不透明感は増している。
人手不足に国内外景況の低迷が経営を圧迫する中で、大手各社がどのような経営の舵を取るかが注目される。
ヤマトHDが先日発表した経営構造改革プランでは、機能単位の部分最適を顧客セグメント単位の全体最適な組織とし、同社はグループ8社を吸収し純粋持株会社から事業会社に経営体制を再編。より顧客に近い位置からの経営でニーズに対応するとともに「データに基づいた経営」、「共創による物流のエコシステムを創出する経営」を基本戦略に掲げた。
日立物流は、協創効果は着実に業績に反映されているとし、さらなる協創による成長に注力する。SGHとの協創も成果をあげているが、中谷康夫社長は「単に2つ足した規模拡大でなく、それぞれのエコシステムを前工程としてつくることから」と方向性を述べている。
これまでの枠にとわれない連携の仕組みも模索されるところだが、厳しい局面にあるからこそ改革ができる。