一段の生産性向上を

全日本トラック協会調査による10-12月期景況感の判断指数はマイナス52・3まで悪化した。7-9月期から25・0ポイントの落ち込みだ。消費税増税による駆け込み需要の反動減などで輸送数量が減少。先行き不透明な材料が多く、足元は数量拡大が難しい中での経営に迫られる。
10-12月期は大手物流企業の業績を見ても、単価の上昇傾向は維持するものの輸送数量は軒並み低調である。
全ト協の指数マイナス50台は2012年7-9月期(マイナス51)以来。世界経済の動向、中東情勢による燃料価格の上昇圧力、消費税増税による輸送数量減少、新型コロナウイルス蔓延による経済活動への影響と懸念材料が重なり、1-3月期の見通しはマイナス61・4としている。
輸送数量の指標では一般貨物、宅配以外の特積貨物が落ち込み、1-3月期も一般貨物はさらに悪化、特積貨物は改善見通しも低水準にある。さらに1-3月期は運賃・料金も宅配貨物含めそれぞれ10-12月期より悪化する見通しだ。
消費増税のほか、中国の景況悪化を受け製造業の荷動き低迷が続き、年末の繁忙期の物量減少が聞かれるほか、年明け後も暖冬による季節商材の動きが低調であることも影響している。
トラック運送業界は人手不足が深刻化する中で事業を継続するには、売上確保とともに生産性向上を図り収益力を高めなければならない。売り上げ拡大が難しい中で、サプライチェーン全体での生産性向上をさらに加速化させる必要がある。
中国を中心とした世界経済の減速が大手企業、製造業の多くの業種で下押しする状況が一気に改善する兆候は見えない。これら企業の収益低下は荷動きとともに物流コストに対しての影響も懸念されるところだ。
より強い物流インフラを構築するべく、国も発着荷主、小売りも含めた全体最適化への施策に取り組んでいる。
トラック運送業界ではとりわけ小ロット多頻度で敬遠される食品流通業界において、関係者による検討会が先の会合で中間取りまとめの素案を示した。
そこにはパレットや台車など輸送資材の規格の統一や、物流拠点の整備・活用のほか、ICTを活用した商品・物流情報の共有なども対応策にあげている。
社会的問題である食品ロスの削減も省庁連携で納期見直しなど改善が進んでいる。サプライチェーン全体の理解、協力のもと無理・無駄を省き、一段の生産性向上が求められる。