課題解決から魅力発信へ

2024年問題に対し政府が6月にも取りまとめる施策の考えの1つに「荷主や消費者の行動変容を促す仕組みの導入」が掲げられたように、物流改善を荷主、消費者とともに取り組む機運が高まっている。
物流現場の実情をしっかり発信していくことだが、実際に24年問題では一般メディアが頻繁に報道、今国会でも幾度となく取り上げられている。
国土交通省は総合物流施策大綱で持続可能な物流の確保の重要性について、社会の共通認識を高めるべく広報活動を強化している。この4月は再配達削減PR月間として宅配事業者、EC・通販事業者とも連携して実施しているところだ。
省庁連携の「持続可能な物流の実現に向けた検討会」では、物流事業者、荷主企業・消費者、経済社会の「三方良し」を目指し今夏の最終取りまとめへKPIを含めたイメージを示す。そこでは荷主や消費者の意識改革、物流の広報強化の戦略も施策の要点となる。
24年問題を回避するべく一時のムーブメントではなく継続的なアプローチが大事だ。とくに消費者に向けた広報活動は物流への正しい理解を促すことで、それは物流業界の人材確保にも関わる。足元の「物流を止めるな」に関心を寄せるだけでなく、物流の良さ、魅力を伝え続け、その価値を共有する人たちを迎え入れることで持続可能な物流の実現に近づく。
日本物流団体連合会は新年度の事業活動で、国の物流への広報活動と連携すると同時に、大きな柱である〝物流業界を等身大で見て頂く〟施策を拡充する。より効果的な訴求に工夫を凝らし、物流業界の中でも連携しながら知恵を出したい。
物流連はインターンシップや業界研究セミナーのほか、コロナ禍で休止していた物流見学ネットワークを再開する。セミナーはコロナ禍でもウェブの活用で遠方の就活生と接点をとり、こうした利点を継続しながら取り組みの広がりが期待される。
今年の入社式は久しぶりの対面形式だったところが多い。コロナ禍の制約に対し、緩和されたタイミングで社会人となり、物流業界に足を踏み入れた人たちもその環境変化を感じ、不安もあろう。
入社式のトップ訓示からは、「体験」、「好奇心」、「積極性」、「挑戦」といったキーワードが例年より目につく。若い人たちの前向きな姿勢、行動、活躍が〝持続可能な物流〟から〝魅力あふれる物流〟へ大きく進化させる原動力となる。