働き方改革とホワイト経営

国土交通省は、働き方改革の一環として、トラックドライバーなどの労働環境のレベルアップに取り組む企業を認証するホワイト経営の見える化を検討している。

ところが、19日開催された第2回ホワイト経営の「見える化」検討会では、一部に、認証を取得できなれば「ブラック企業」のレッテルを張られることになりかねないとの意見もあり、国交省は「ホワイト」の名称変更を余儀なくされた。

自動車運転者の労働時間は2017年度で全産業平均に比べ1・8倍も長く、運転者の有効求人倍率も全体の2倍強と労働力不足感が強まっており、働き方改革を急がなくてならないのが現状だ。

先の国会で成立した働き方改革関連法は、トラック、タクシー、バスなどの自動車運転業務に、2024年4月1日から罰則付きの時間外労働上限規制を適用するもので、規制時間は一般産業が年間720時間までとされたのに対し、自動車運転業務は年960時間以内とされた。

政府の計画は、5年間の猶予の間に、すべての運転者が規制を守れる状態にすることが最終目標で『「運び方改革」と安全・安心・安定(3A)の職業運転者の実現』が副題としてつけられている。

昨夏発表された、「直ちに取り組む施策」63施策のほかに25施策を加え、合計88施策としたもので、計画の実効性を担保するため、労働時間、賃金、運転者の需給、運転者の構成などをモニタリングし、必要な見直しを行う考えだ。

政府の計画の施策の目玉は、「ホワイト経営」の見える化と「ホワイト物流」実現国民運動だ。「ホワイト経営」の見える化は、働き方改革に前向きなトラック運送事業者などを認証し、取引先や就職先として優位性を持たせる。

すでに2回の検討会を開き、年内に結論を得て2019年度からの制度運用をめざしている。2回目の検討会では、初会合の議論をもとに、認証項目が53項目から66項目へと増えた。今後の検討でさらに増えることが予想される。

ただ、気になるのは「ホワイト」でなければ「ブラック」なのかといった短絡的な議論である。

自動車運送の現場を、女性や高齢者でも活躍できる、より「ホワイト」な労働環境に変えていき、必要な運送サービスを確保していくための取り組みとして、ホワイト経営を位置づけたい。

いずれにしても、運送業界の経営現場を誰でも担えるようにし、労働環境のレベルアップに取り組む企業を応援したい。