eキャンター900台導入、ヤマト運輸

主力2トン初のEV

ヤマト運輸(長尾裕社長)は、三菱ふそうトラック・バス(カール・デッペン社長)が開発した電気小型トラック「eキャンター」新型モデル900台を9月から来年3月末にかけ全国に順次導入する。主力の2トントラックのEVは同社初。併せてEV運用オペレーションの最適化や、再生可能エネルギー由来電力の活用、エネルギーマネジメントシステムの開発など、サステナブル経営への取り組みを強力に推進する。12日に3台導入した高崎正観寺営業所(群馬県高崎市)で記者発表を行った。ヤマト運輸は群馬県内で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築」プロジェクト助成事業によるEV導入・運用、エネルギーマネジメントの実証を行っている。長尾社長は2030年までにEV2万台の導入目標を掲げる中で「環境配慮や車両性能はもちろん、働く社員にとって使いやすい車両であることが重要で、メーカーの理解と協力が不可欠。 新型eキャンターは積載量がありながら小回りが利き集配業務でも非常に使いやすい。 今後もパートナー企業や地域の皆さまと連携し、サステナブル社会の実現へ取り組みを推進する」と期待を示した。EVでは先行して日野自動車のウォークスルータイプ(1トン)の導入を住宅地向けへ進めているが、ラストマイルの主力となる2トンクラスの導入でEV化に弾みをつける。900台は今年度末時点でのEV導入台数累計予定2200台の4割を占める。三菱ふそうは17年にeキャンター初代モデルを発売し今回3代目。8月末累計で全世界590台、国内190台の実績に対し過去最大の900台の受注となる。ヤマト運輸としても900台の一括発注は過去最大。長尾社長は「ラストマイル拠点の大型化・集約化を図っており、各拠点では調達電力も再エネ中心になる。条件が整い次第このタイプのEVを導入していく」と今回の経緯を述べる。充電設備など準備を進めるが、全拠点にEVを導入する考えではなく、地域特性に合わせて検討する。高崎正観寺営業所は13日から運用を開始。営業所には太陽光パネルを設置し現行総使用電力の3割程度を賄うが、今後増築計画で同営業所では再エネ100%電力で賄う計画だ。
●ドライバーの負荷軽減
ヤマト運輸が導入した新型eキャンターは、常温・冷蔵・冷凍機能の3室を備え3温度帯に対応。充電口は車両後方で日々の充電や荷室からの荷物の出し入れがしやすい仕様とした。車両総重量5870㌔㌘、航続距離/1充電116㌔㍍。デッペン社長は「セールスドライバーの作業負荷軽減や安全運転をサポートするゼロエミッション車両。ヤマト運輸は全国展開する第1号企業で、FUSOグリーンリースのプログラムを世界に先駆け導入した。Eビリティへのスムーズな移行を支援したい」と述べた。

長尾社長(右)とデッペン社長