物流全体でDX、GX推進

国土交通省自動車局の来年度概算要求は一般会計で34億円(今年度予算18億円)と大幅な増額を求めた。額のボリュームでは次世代自動車の普及促進や、深刻化する自動車整備業の人手不足対策が大きい。トラックの働き方改革や脱炭素化・効率化への取り組みも拡充しており、厳しい経営環境が続く中、持続可能で強固な事業基盤をしっかりと支えていく。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進とともに、脱炭素化に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)もキーワードとなる。
電気自動車、燃料電池自動車など次世代自動車の普及促進事業は普及と車両価格の低減に応じて補助額を段階的に設定するもの。ニーズの高まりを受け3倍増の12億円を要求した。商用車の電動化の開発体制も進展しており集中的導入を促す。
トラック輸送の脱炭素化・効率化への取り組みでは、輸送効率化によるCО2排出量削減効果の見える化を推進するため新たに事例集を作成する。効果を定量的に示し運送事業者や荷主、広く一般にも周知することでCО2排出量削減への効率的な輸送形態の転換を促す。輸送効率化に先行し、ガイドラインを策定した4品目(洋紙・板紙、家庭紙、建設資材、加工食品/飲料・酒)を対象に行うという。中継輸送など実証実験も引き続き実施する。
一方、総合政策局物流政策関係では物流生産性向上で倍増の1・4億円を要求した。2024年問題やカーボンニュートラルなど直面する課題に対応するため、物流総合効率化法の枠組みの中でモーダルシフト等推進事業の継続とともに、さらなる効率化への実態調査や標準的EDI普及への調査などを新規に行う。物流DXやグリーン物流の推進で一段の生産性向上を図る。
今回の概算要求では組織見直しにおいて物流とトラック行政を一本化する考えが示されたことも大きなインパクトがある。DXやグリーン化などの課題に対応するにはトラック単一での解決は難しい。間近に迫る2024年問題に対しても物流と一体的な組織がより有効であるとの判断だ。
総合政策局においてモード横断的に取り組んできた物流部門を自動車局に移管する。これまで通り横串的な機能を持ちながら、自動運転など技術面についても自動車局の組織と連携する。
DX、GXを物流全体でより効果的に進める体制が求められる。