運輸・倉庫2カ月連続悪化、TDB2月景気動向調査

販売単価は過去最高更新、一定の価格転嫁進む

帝国データバンク(TDB)が発表した2月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・9ポイント減の38・0と2カ月連続で悪化した。引き続きコスト負担増の影響を受けるが、販売単価DIは56・8と昨年10月の56・4を上回る過去最高値を更新、一定の価格転嫁が進んでいることもうかがえる。全体の景気DIは前月から横ばいの42・1。新規感染者数の急速な減少で人流増加が押し上げ要因となったが、コスト負担増の影響が続く。原材料価格・電気料金の高騰や生活必需品の価格上昇、不十分な価格転嫁が景気のマイナス材料だった。人手不足感の高まりも続く足踏み状態だが、今後は弱含みながらもおおむね横ばい傾向で推移するとみる。運輸・倉庫業界の景気DIは昨年9月から小幅ながらも改善したが今年に入り1、2月と悪化。コスト増とともに荷動きも厳しい声が聞かれる。調査対象の約6割を占める一般貨物自動車運送の景気DIも前月比1・7ポイント減の36・8と2カ月連続で悪化した。運輸・倉庫業界の各指標はグラフの通り。仕入単価DIは68・4(前月69・7)と依然高水準だが、これ以下となると2021年9月(63・8)まで遡る。販売単価DIは56・8(前月55・9)と過去最高値で、仕入れ単価と販売単価の差は11・6と全体の12・0(仕入れ72・9/販売60・9)を下回った。緩やかなからも価格転嫁は進んでいるようだ。雇用過不足DIは正社員62・7(前月63・1)、非正社員57・4(前月57・3)と人手不足感も高い水準が続いている。貨物関係の事業者からは「取引先が原材料費の高止まり等の影響を受け、物流費の改定が行えていない」(組立こん包)、「仕事はあるが単価が安い。2024年問題等による費用増加も厳しい」(一般貨物自動車運送)、「輸出入とも荷動きが低迷」(運送取次)など物量も含め厳しい声が聞かれる。見通しでは「コロナ対応の5類移行に、賃上げの実現で少しずつ回復基調」(運輸に付帯するサービス)の期待が聞かれるが、「物価高が継続し収支改善が見通せない」(集配利用運送)、「コスト上昇と消費の低迷による影響は続く」(普通倉庫)など懸念材料が多い。TDB調査による運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後41・8、6カ月後44・3、1年後47・0となっている。