公取委 価格転嫁で緊急調査
トラック運送など22業種
公正取引委員会は3月30日、「道路貨物(トラック)運送業」や「総合工事業」「食料品製造業」など22業種を中心に、原材料費などの価格が高騰するなかで、「下請け企業が円滑に価格転嫁できているか」――独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査を実施すると発表した。調査は、昨年12月に取りまとめられた政府の「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(「転嫁円滑化施策パッケージ」)に関する取り組みとして、新年度早期に実施する。緊急調査は10万社以上に書類を送り、労務費、原材料費,エネルギーコストの上昇分の価格転嫁の状況について情報を集め、年内をめどに報告書をまとめ、結果を公表する。転嫁拒否が疑われる発注元の企業については、立ち入り調査も検討する。公取委によると、価格転嫁を困難にする代表的な阻害要因としては,値上げ要請を理由とする転注・失注リスク,ユーザーに対する価格競争の影響による転嫁の受入れ困難,発注者や元請の立場が強く価格交渉が困難である点が見受けられている。調査の対象業種は,関係省庁からの情報提供や要請等を踏まえ,発注者側・受注者側の両面の」立場があることを整理し,サプライチェーンのつながりに基づき,22業種としたが、今後さらに精査する。今回の緊急調査は、昨年12月に政府全体で「中小企業が労務費、原材料費、エネルギーコスト等の上昇分を適切に転嫁することは重要」として取りまとめた「転嫁円滑化施策パッケージ」に関する取組みの一環と位置づけ実施する。公取委では「転嫁円滑化施策パッケージ」を踏まえ、①独占禁止法の執行強化②下請法の執行強化③価格転嫁円滑化スキームを盛り込んだ新たな「中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」を3月30日に策定、独禁法・下請法違反行為に対し厳正に対処していく方針だ。