さらなる運賃引き上げを、自民トラック議連

悪質荷主へ対処徹底 全ト協坂本会長

自民党トラック輸送振興議員連盟総会が3日に開かれ、全日本トラック協会からの要望を受けるとともに、2024年問題など現状課題について意見交換した。冒頭、細田博之会長の死去により、加藤勝信会長代行の会長就任を承認。加藤会長は「政策パッケージを踏まえた予算や、物流効率化法等法案も審議に入った。まだまだ道半ばであり実際にいろんな課題も出てくる。そうした声をしっかり聞き、日本の物流、国民の生活を守り、トラックで働く方々の暮らしを守る。積み重ねた施策を皆さんの後押しで前へ進めたい」と述べた。全ト協の坂本克己会長は、審議に入った関係法案や、トラックGメンをはじめとした荷主対策、運賃水準を8%引き上げた新たな標準的な運賃など「すごい仏を作ってもらったが、まだご利益がない」とし、とくに悪質な荷主に対する徹底した対処を求めた。坂本会長は荷主対策で国土交通省を中心に公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省が連携して体制を強化する一方、荷主所管である経済産業省、農林水産省の対応を求め、「政府の責任としてしっかりお願いしたい」と重ねて要請した。意見交換で議連からは標準的な運賃の8%引き上げに対し「長い労働時間を削減する分賃金も減る。2割以上の引き上げが必要」、「ドライバーの処遇改善にこれ位の引上げが必要という発想がほしい」などさらなる運賃引き上げへの意見が相次いだ。また、荷主からの転嫁も「最終的に消費者を巻き込んだ転嫁の在り方が求められる」など政策パッケージの行動変容にも踏み込んだ施策を求める声が聞かれた。
●交渉ツールを検討
行政からは国交省の鶴田浩久物流・自動車局長が「労働時間を短くする中、トータルの賃金が高くなるよう、経産省、農水省と連携していく」とし、価格交渉では「トラック事業者のわがままではなく、国の政策として運賃を上げるという交渉ツールを作成することで全ト協と検討している」と述べた。経産省の中野剛志商務サービスグループ消費・流通政策課長は関係法案の荷主への規制的措置に言及。「義務対象となる3千数百社のうち経産省は2千数百社。製造業は販売物流では発荷主だが調達物流は着荷主で、ダブルで規制がかかる。試算にある2030年で34%足りなくなれば判断基準をさらに強化する」など荷主対策に踏み込んでいく姿勢を示した。農水省の藏谷恵大大臣官房新事業・食品産業部食品流通課長は「農業・食品分野は60以上の団体が自主行動計画を作成している。標準パレットやトラック予約システムの導入などしっかり進めていく」との考え述べた。