適正運賃収受、今が好機

業界のスポット運賃の代表的な指標であるWebKITの成約運賃指数が、昨年12月に「127」となり、調査開始以来の「最高値」を更新した。

2010年4月を「100」とした指数で、これまでは2014年3月の消費増税前の駆け込み需要による「126」が最高だったが、昨年12月は、緩やかな景気回復と年末繁忙期を迎えたこともあり、ドライバー不足、車両不足が顕在化したかたちだ。

帰り荷などの求車情報と求荷情報をマッチングさせるシステムだが、加入者数は年々増え続け、2017年度のID数は前年度比7・3%増の4655、12月末の求車情報登録件数は前年同月比35・6%増の19万789件に達している。

ヤマト運輸の「宅配危機」に端を発した宅配便の運賃見直しは、宅配便に限らず、企業向け物流にも波及している。

日通総合研究所の調査によると、一般トラックの運賃・料金動向指数は、昨年10-12月の実績でプラス25、今年1-3月の見通しではプラス29となっており、年度末に向けて運賃の値上がりを見込む荷主が多いことを裏付けた。

ヤマトホールディングス相談役である瀬戸薫全国物流ネットワーク協会会長は、「フォローの風が吹いている」と指摘し、「今が好機」と運賃交渉を促した。

瀬戸会長は「会社に何十年もいるが、こんなことは今までなかった」と述べ、「このフォローの風をとらえて、『運賃が値上げできて良かった』というだけでなく、人材の確保、利益の確保、物流の変革などを見据えた次の投資にも使うことが大事だ」と述べ、ドライバーの労働条件改善だけでなく、将来への投資も促した。

国土交通省は昨年11月、標準貨物自動車運送約款を改正し、運賃と料金を明確に区分して、荷待ちに対する対価を新たに「待機時間料」と規定した。

運送の対価である「運賃」と、運送以外のサービスの対価である「料金」を適正に収受できる環境を整えることが目的だ。

ただ、標準運送約款改正に伴う運賃・料金の変更届出件数は、昨年12月15日現在全事業者の31%にとどまっているため、国交省では、トラック運送機能を維持するために「何にいくらかかるのか」を明らかにし、荷主と共通認識を持つために、手引書を策定する考えだ。

こうした行政による後押しも活用して、適正運賃収受への取り組みを進めたい。