安全、コンプライアンス、品質

大手物流企業トップが仕事始めの日に年頭訓示を行った。

経営計画の最終年度を迎える企業、折り返し点を迎える企業、残された3カ月を総仕上げの時期とする企業トップは、2018年を目標達成とともに自社の将来にわたる成長戦略を示す年と位置付けた。

訓示には、「営業力の徹底強化」「機能としての物流強化」「収益力の強化」「生産性向上と人材確保・育成」「次なる次元への高み」「第2の創業の年」「ESG(環境・社会・企業統治)の向上」といった課題やテーマが目立ち、目標達成に向けた決意が感じられた。

共通しているのは、企業が存続していくうえでの生命線である「安全」と「コンプライアンス」、競争力強化の前提となる「品質」だ。

「営業力の徹底強化」をトップにあげた企業は、これまでのコストコントロール、適正料金収受への取り組みに加え、グループの営業戦略であるワンストップ営業やアカウントマネジメントの強力な展開、急速に進化しているIoTやAIなどの先端技術の活用を呼びかけた。

物流を中核としながらも、事業・業界を超えた協創領域の拡大を掲げる企業は、昨年12月に上場したパートナー企業との協業に手応えを感じており、IoTやAIを活用した次世代技術は「合理化・省力化だけでなく、職場環境の改善、働き方そのものを改革していく」と強調した。

5カ年計画の2年目を迎える企業は、「生産体制の強化」で人材の確保育成、「収益力の強化」で料金改定や取引条件の見直し、「事業拡大」で3温度帯を中心とした物流センターの増強など、目に見える成果を期待し、「チェンジとチャレンジ」を訴えた。

昨年、「原点回帰」を基本方針に掲げたフォワーダー企業のトップは18年度を、19年度から始まる次期中計への足がかりとなる年と位置づけ、中計のスローガンである「航空70万㌧、海上70万TEU」の目標達成をめざす。

人材確保・育成の強化や労働時間短縮による生産性向上など、働き方改革の取り組みを喫緊の課題に挙げたトップは、「働きやすい職場環境の追求と働き方改革」の推進で、人材定着の強化が不可欠だと述べた。

昨年創業30周年を迎え、18年を「第2の創業の年」とした企業トップは、勝ち残るために「規模の拡大」を掲げ、営業力とブランド力の強化などをグループ方針に据えた。

民間シンクタンクによると、18年の日本経済は内需に力強さが欠けるが、緩やかな拡大基調が続く見込みだ。各社一層の飛躍を期待したい。