発着荷主が主体的に変わる
物流のあるべき将来像として、経済産業省と国土交通省がフィジカルインターネット(PI)実現会議において2040年を目標とするロードマップを3月に取りまとめた。分科会の1つであるスーパーマーケット等WGが策定したアクションプランについて、先ごろ開催した製・配・販連携協議会の総会で加盟企業45社が賛同宣言し、実装への動きが本格化した。
PI実現会議は昨年10月から6回の会合を経て報告書をロードマップとして提示した。同総会の場で説明した経済産業省の中野剛志消費・流通政策課長によると、その後のウクライナ情勢の影響でコスト増の危機度は前倒し。物流業界は適正運賃収受で賃金を上げ労働力を確保する必要性から、物流コストを下げるには非効率性を圧縮することで、そのためのPIの実現であり、それには商慣習を変え、荷主が変わることと強く訴える。
分科会はスーパーマーケットのほか、百貨店、建材・住宅設備の3業種のWGが設置され、スーパーマーケット等WGがいち早く実装へ動く。アクションプランを進捗管理する製・配・販連携協議会で予てから効率化への取り組みを進めてきた背景もあり、参加企業の物流への危機意識は共有されている。
今後、優先課題のコード体系標準化、物流資材の標準化、取引透明化への商慣習見直し、データ共有ルール化についてWGを設置し進捗を公表する。徹底した標準化とともに発着荷主が協力、率先して商慣習の見直しを図ることは物流業界の取引適正化においても大きな前進である。
中野課長のロードマップの説明ではとくに25年までの準備期と離陸期の26-30年が重要とし「準備期で標準化と商慣習の是正、データ連携など基礎的な要件を徹底できれば自ずと共同輸配送は進む」とみる。それだけに30年までの業種別アクションプランの確実な実行が求められる。
今回の賛同企業45社は加工食品、日用雑貨関係のメーカー、卸、小売り各リーディングカンパニーが名を連ねる。発着荷主が主体性を持って物流効率化に取り組む波及効果は大きい。
アクションプランとして賛同各社がそれぞれ計画を策定する。進捗も定期的に〝見える化〟する。荷主側が投資をすることにより、物流事業者も含めサプライチェーン、社会全体にも大きなメリットがある。しっかり基盤をつくり中小事業者にも浸透させる道筋を作ってほしい。