環境配慮と生産性向上を両立

2050年カーボンニュートラル実現へ機運が高まる。国土交通省が「グリーン社会WG」で提示した骨子案には「様々な分野・主体間の連携による取り組みにチャレンジ」との必要性が示され、社会全体で課題解決に臨む姿勢が求められる。DX、生産性向上との相乗による効果も期待される。
国内のCO2排出量で運輸部門は2割、自動車は16%を占めており、物流事業者の脱炭素化に向けた取り組みへの期待値は大きい。
電動商用車の普及に向けてはコストやインフラ整備と物流業界の課題は共有され、補助金導入など支援策の充実が前提といえる。こうした自動車単体の対策とともに電動化に対応した交通・物流・インフラシステムの観点からの対策が必要だ。
国土交通分野の環境関連施策の方向性を示す今般の骨子案には「サプライチェーン全体を通じた電動車活用」「電動化と自動化による新たな輸送システム」、「物流DXを通じたサプライチェーン全体の輸送効率化・省エネ化」など記載されており着実に実行したい。
とくにDXの活用を含めたスマート交通、グリーン物流による効率化・生産性向上と環境配慮の両立をいかに進めるか。人手不足対策と脱炭素化の両立を目指すという認識を広く共有したい。
13日の国の成長戦略会議で「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の検討状況について中間報告があった。重要分野の自動車・蓄電池は、蓄電池の大規模投資支援、燃費規制活用、購入支援、事業転換支援、インフラ整備、公共調達など施策パッケージを具体化、6月目途に取りまとめる。「カーボンニュートラルの本質は社会を変える企業・人々の行動の変革」と促す。
国交省、経産省の自動車政策検討会ではこれに向け関係業界のヒアリングを進めている。16日の会合で日本物流団体連合会の宿谷肇事務局長が大手も運送コスト上昇分を荷主に転嫁できないことや、標準化、積載率など物流業界の課題を指摘し、社会全体で取り組まないと人手不足の解決、カーボンニュートラルも実現しないと理解を求めた。
委員の石田東生筑波大名誉教授は「荷主との関係はコストのほか、リードタイムや標準化も含め物流事業者に負担が偏在し大きな問題。こうした社会システムも広い意味でのインフラであり対策が必要」との見解を示す。
カーボンニュートラル実現には商慣習是正も大きく係る。荷主も含め社会全体で変革を促したい。