物流広報、より効果的方策を

14日の総合物流施策大綱(21-25年度)フォローアップ会合で施策の進捗状況が示された。DX・標準化は概ね着実な進捗をみせ、物流改善へ事業者の積極的な動向が確認できる。
物流の課題解決には荷主や一般消費者も巻き込んだ連携・共同による継続的な取り組みが必要であり、有識者や関係事業者の参画で大綱施策の進捗管理や検証を行うフォローアップの場を設けた。
大綱では簡素で滑らかな物流、担い手にやさしい物流、強くてしなやかな物流の3つの柱を立ててKPI(重要業績評価指標)を定め毎年の会合で確認する。簡素で滑らかな物流はDX・標準化という大綱の目玉の1つ。事業者へのアンケート調査からは前向きな姿勢が伺える。物流の大半を占める小規模事業者にも確実に浸透していくことが肝要だ。
国交省ではDX関連機器等を導入した24の事例をまとめた事例集を作成してホームページに公開しており活用を促す。また、標準化に向けた業種別の指針やアクションプランの策定では大綱決定後も青果、紙加工品・衛生品、菓子と最終目標の3分野を達成。好事例を広く可視化し横展開へと好循環を促したい。
5カ年でその成果を定量的にみるには現状での判断は難しい。コロナ感染症の長期化や激甚化する自然災害の影響もあり、実際にKPIでは策定時に対し数値を下げる項目もある。
トラックドライバーの平均年間所得額・労働時間(目標全産業平均)や労働生産性などは水準を下げている。「2024」問題が間近に迫るが、DXや標準化など一定程度進捗したところで検証する必要もある。
そのためにも物流改善が待ったなしであることをより強く発信していかなければならない。大綱でも広報の強化を重点に位置づける。昨年実施した消費者アンケートでは多くが物流に理解を示し実行に移しているようだ。今年度も事業者・消費者へのアンケートのほかヒアリングも行い年明けにも広報戦略立案を実施する考えだ。
一方、対荷主でみると「ホワイト物流推進運動」の賛同企業数があまり伸びない。荷主理解も一定のところまでは進むがサプライチェーン全体への波及となるとまだ弱い。
取引適正化、商慣習の問題でも指摘されるが、やはり着荷主の理解・協力が物流改善に不可欠だ。消費者広報の観点からも、より接点のある着荷主へのアプローチを強くする必要がある。