今できることを積み重ねる

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」案によると、商用車の電動化は小型新車(8t未満)で40年電動車・脱炭素燃料車100%を目標とし、車両の導入やインフラ整備の促進など包括的措置を講じる。電動化に伴う産業構造変化も見据え、円滑な普及へ総合的な対策が期待される。 大型車についても商用用途に適する電動車の開発・利用促進へ技術実証を進めるほか、充電・充てんインフラの最適配置、運行管理とエネルギーマネジメントの最適化による経済性の最大化を図る考え。事業者にとって利点が分かりやすい体制づくりが急がれる。
環境対策は物流効率化との両立も注目される。グリーン成長戦略案には「物流の効率化・生産性向上と電動化、燃料の脱炭素化等の同時実現に取り組む」ことが示され、物流・荷主事業者に輸送モード、物流施設等様々な要素を組み合わせて将来への変化を促す。サプライチェーンの連携、協働による継続的な取り組みが脱炭素化の実現に向けても大きな原動力になる。
グリーン成長戦略は、民間投資を後押しし、企業の現預金(240兆円)の活用を促し雇用と成長を生み出す。予算、税、規制・標準化、民間の資金誘導と政策ツールを総動員する。政府は「2050年カーボンニュートラル」宣言に続き4月には「2030年度CО2排出量13年度比46%削減」というさらなる高みへの挑戦を表明、グリーン成長戦略を改定して施策の方向を鮮明にする。
成長が見込まれる14分野において目標・施策内容を具体化するとともに「2050年の国民生活のメリット」も示す。自動車・蓄電池産業では「2050年のモビリティ社会では交通事故ゼロ・渋滞ゼロに向けて、安全性・利便性が向上するほか移動時間の概念の革新などを実現」と記しており、技術革新等を通じて様ざまな成果を生み出す姿を描く。
事業者も脱炭素化への取り組みをこれら国の包括的な措置、さらに施策を通じて期待される効果も踏まえしっかりと事業の成長戦略として実行したい。
6月は環境月間。政府が野心的な目標を掲げる中で、トラック運送事業者はエコドライブの推進、環境性能の高い車両の導入、輸送効率化の推進といったこれまでの主たる対策を継続、進化させていくことに尽きる。
それぞれの立場で今何ができるか。その積み重ねが高い目標に近づくものととらえたい。