ニューノーマル転換を好機に

新型コロナウイルス感染症によるEC需要の増加から宅配取扱個数の拡大が続いている。宅配大手の上期(4-9月)実績ではヤマトホールディングス、SGホールディングス、日本郵便(JP)とも数量を伸ばし、ヤマト、SGは通年でも上期並みの伸びを見込む。「ECの増加に対する受け入れ準備を進めてきたことが数字に繋がった」(ヤマトHD)などデータ化、効率運営の精度向上も大きい。
3社の上期月毎伸長率では、ヤマトは5月の19・5%増、SGは6月の14・1%増、JPは5月の29・1%増がピーク。しかし緊急事態宣言解除後もBtоCは活発な動きが継続し、経済活動の再開からBtоBも動きを戻し全体で高い伸びを維持している。
直近では9月でヤマト7・2%増、SG0・8%増、JP11・5%増と伸び率は下がったが、通年の取扱個数予想は第1四半期(4-6月)公表時からの対比でヤマトが2500万個、SGは4000万個それぞれ上積みした。新しい生活様式へのシフトが定着しつつあり、拡大するEC領域の需要を確実に取り込む構えだ。
ヤマトは小さな荷物を送る時に便利な「ネコポス」が4-9月で46%増と牽引した。新たに置き配にも対応した「EAZY」を加えるなど需要増に対応する。宅配便4商品(宅急便・宅急便コンパクト・EAZY・ネコポス)の個数でネコポスの構成比は12・3%(前年同期9・4%)まで高まった。
JPも小さい物の発送に適した「ゆうパケット」がゆうパック全体の48・8%を占め、4月、5月は50%を超えている。
経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」ではCtоC取引市場の規模が約1兆7407億円(前年比9・5%増)と推計され、この市場規模の拡大にはフリマアプリの成長が寄与する。
ヤマトは個人間取引サイト(フリマ・オークションサイト)などの事業者を対象に10月から「ネコポス」の取り扱いサイズをそれまでの厚さ2・5㌢㍍以内から3㌢㍍以内に拡大した。
JPはフリマアプリ「メルカリ」で取引された商品を郵便ポストから発送できる「ゆうパケットポスト」の提供を4日から始めた。
今後もEC市場の拡大が見込まれ、ニューノーマルへの転換期の中では新たな需要創造の可能性も広がる。これを実現するにも、まず市場拡大に対応できる強固な配送ネットワークの構築が今まで以上に求められる。