〝待ったなし〟で問題共有

2024年度からの時間外労働規制の適用に向け、トラック運送業の取引適正化への取り組みが急がれる。働きやすい環境をつくるには何より荷主の理解、協力を得て取引適正化にともに向き合う姿勢が不可欠だ。
 取引適正化への国の施策をみると、「書面化推進ガイドライン」の策定(14年1月)をはじめ、待機時間料などを料金として規定した「標準貨物自動車運送約款」の改正(17年11月)、運送に必要なコストを示した「トラック運送サービスを持続的に提供可能とするためのガイドライン」の策定(18年12月)、待ち時間や附帯業務を乗務記録の記載対象とした「貨物自動車運送安全規則」改正(17年7月、19年6月施行)などがあげられる。
これら施策がどこまで周知徹底されているのか。9日に開かれた「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」ではその進捗状況について、真荷主への契約書面化約80%、改正後標準約款に基づき運賃設定約83%、約款改正を踏まえ真荷主と取引を見直し約50%――などと報告された。さらに浸透させたい。
一方、荷主、一般国民へ輸送の効率化を呼びかける「ホワイト物流」推進運動は、協力する旨の自主行動宣言をした企業が約550社である。関心は高まっているが、行動宣言をした企業のフォローアップなど実効性に着目していく必要があるだろう。
中央協議会・地方協議会では、トラック運送業と荷主の連携による実証事業としてパイロット事業(16・17年度)、コンサルティング事業(18年度)、アドバンス事業(19年度)を行い、事例を積み重ねている。9日の会合ではここで得られた改善策を、全国の荷主や運送事業者に対して効果的に展開・浸透させるための取り組みが今後の論点の1つと提議した。
またとくに中小事業者や着荷主に対して協議会の取り組み周知への手法も課題にあげられた。
荷待ち時間発生件数の多い品目別懇談会については、今年度から地方協議会でも行われており、地域の事情を踏まえた改善策が期待される。行政には自主的に課題改善を図る環境づくりが求められる。
荷主との取引環境ではとくに着荷主が幅広く特定が難しいことや、9日の会合では、地方協議会で改善が望まれる荷主が協力してもらうような働きかけを望む声も聞かれた。働き方改革、取引適正化は〝待ったなし〟の状況であることを肝に銘じてサプライチェーン全体で問題点を共有していきたい。