「ホワイト物流」に賛同を

「ホワイト物流」推進運動の基本的な内容がまとまった。荷主などの企業と、一般消費者にもトラック輸送の効率化、労働環境の改善について理解、協力を求めていく。企業への要請は、約3700社ある上場会社すべてを対象に、代表者に宛てて直接文書で要請する考えで、より効果的な運動へと広げていく。

トラック運転者不足に対し、国民生活や産業活動に必要な物流機能を安定的に確保し、さらなる経済成長に寄与するため①トラック輸送の生産性向上・物流の効率化②女性や高齢者を含む多様な人材が活躍できる働きやすい労働環境の実現――を関係者が連携して強力に推進することが運動の趣旨だ。

昨年12月にホワイト物流推進会議の初会合が開かれ、趣旨、方針を確認。具体的内容を「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」で決め、20日の会合でその方向性が提示された。

企業、消費者への働きかけともに、物流事業者もトラック運転手の確保へ、労働条件・環境の改善に努め、荷主企業・元請事業者などに対し物流の改善提案を行うとしている。

企業、国民、物流事業者それぞれの協力関係が前提となる。

運動を着実に実行し成果を上げるためにも、より多くの企業からの賛同が必要だ。必須3項目への「賛同表明」を得た上で、公表するのは任意の推奨項目とするなど、段階的に参加しやすいようにし

同時に企業、消費者への分かりやすい呼び掛けが求められる。トラック運転者不足が生活や産業活動に与える影響を、どう問題喚起するか。効率化、労働環境改善が進まなければ、消費者の不便さ、企業側の物流コスト増や機会損失といった負の部分の発信も必要だろう。

20日の協議会では、委員からこうした参加要請へのアプローチの仕方についての発言が目に付い。運動開始にあたっての入り口のところでしっかり理解してもらうことが成果を左右する。

荷主企業は物流コスト上昇を理由に相次ぎ値上げを表明しており、トラック輸送の労働条件改善がクローズアップされている。こうした喫緊の課題への対応とともに、物流機能を持続的、安定的に確保する観点から現場の様々な現状、課題を丁寧に伝え、荷主企業が自発的に協力する仕組みとすることが望まれる。

事業法改正により荷主と物流事業者がともに働き方改革に対応するとの方向性が示されており、このタイミングで効果的な運動に期待がかかる。