共同物流の課題鮮明に

国土交通省は13日、「共同物流等の促進に向けた研究会」を開き、異業種3社による往復共同幹線輸送事例や、荷主間の連携に関する「ヒアリング結果まとめ」などを行った。

共同物流等の促進に向けた研究会は、共同物流などによる物流の効率化に向け、優良事例や実現に向けた課題などの研究を行い、官民が進めるべき施策の方向性を検討するため、昨年11月に立ち上げられた。

改正物流効率化法の施行から2年が経過したが、共同モーダルシフトなど優良な取り組み事例が一定程度蓄積してきた一方で、取り組み事例は業種や地域が限定的である等、課題もみられたためだ。

今回は加工食品、日用品などのメーカー・卸・小売りなど10社に、現在の取り組みの経緯や今後の展開、方向性などについてヒアリングした。ヒアリング結果によると、共同物流で苦労した点では「コストダウンか、労働力不足対策か‐‐重視する考え方が荷主間で一致しない」、「公正取引委員会との調整に時間を要する」、「ドライバーの荷役範囲などの納品条件の統一に調整を要する」など、物流現場で具体的な声が聞かれた。

実現しなかったことでは「商習慣の問題から配送の共同化に協力してもらえない着荷主」や「各社のシステム統合までは至らないケース」などがあった。

メリットについては「中継輸送に加えて2社の拠点間輸送を組み合わせて25%コストダウンやCO2削減を実現」、「災害時のBCPとしてモーダルシフトや、モードの多様化は有効」など、コストを重視する一方で、環境対策や災害対策の意義があることも聞かれた。

また、トラックドライバー不足による「短期的な物流コスト増よりも長期的に考えて商品を運べなくなるデメリットの方が大きい」など将来の危機的状況を回避するためにも、共同物流が必要とする考え方もあった。

今後の取り組みでは「翌々日配送が車両確保、荷量の平準化調整などに大変有効」「モードの多様化が必要」、国への期待では「システムの統一やシステム変更、新技術への補助による共同物流の促進」を求める意見が多かった。

いずれにしろ、共同物流等を進めるためには、コストや商慣行等の課題、その課題を克服するために国に期待される役割は何か――などの論点に取り組まねばならない。

今後は幹線物流、地域内物流事業者など、2~3回の会合を開き、6月を目途に取りまとめるという。深堀りした議論に期待したい。