道路貨物運送など4業種選定

公取委・中企庁「買いたたき」被疑で重点立入調査

公正取引委員会、中小企業庁は5月31日、2021年度における下請法上の「買いたたき」処理状況や、価格転嫁円滑化スキームによる関係省庁からの情報提供などを踏まえ、重点立入調査の対象とする業種として、道路貨物運送業、金属製品製造業、生産用機械器具製造業、輸送用機械器具製造業を選定した。昨年末に関係省庁が取りまとめた転嫁円滑化施策パッケージは、中小企業が労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁し、賃金引き上げの環境を整備するもの。転嫁拒否が疑われる重点立入業種を毎年定め、立入調査を行うとしている。21年度の下請法上の「買いたたき」処理件数は1186件で、道路貨物運送業は最多の175件。次いで情報サービス業が83件だが、製造業で多い金属製品(70件)、生産用機械器具(64件)、輸送用機械器具(38件)に重点立入調査を行う。
●価格転嫁業種分析報告書を公表
公取委と中企庁はこの21年度の下請法違反被疑事件の処理状況と、荷主と物流事業者の取引調査結果に基づき、事例、実績、業種別状況など「価格転嫁に係る業種分析報告書」として取りまとめ公表した。下請法違反被疑事件の処理状況は公取委が毎年実施・公表しているが、円滑化スキームに基づき中企庁と連携して実施。報告書に詳細を示した。道路貨物運送業は「買いたたき」で最多のほか、「減額」は143件と機械器具卸売業164件、金属製品製造業144件、生産用機械器具製造業131件などとともに上位。「支払い遅延」も388件で業種別では4番目。3案件の総合では706件と、情報サービス912件、機械器具卸業747件に次ぐ。荷主と物流事業者の取引調査では報告書においては注意喚起文書送付先について全業種の内訳を公表している。また、同調査の物流事業者の回答で「問題につながる恐れのある業種別分析違反行為類型」は1457件あり、内訳では買いたたき568件、利益提供要請208件、減額185件、支払遅延177件、給付内容の変更・やり直し170件など。今般、「買いたたき」被疑で立入調査する、金属製品製造、生産用機械器具製造、輸送用機械器具製造の3業種は、荷主と物流事業者の取引調査結果において注意喚起文書送付先の内訳でも多かった業種である。