24年問題後の実態共有、中央協議会

環境改善へ荷主協力不可欠

国土交通省、厚生労働省は18日、「第18回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」を開催した。2024年度のトラック運送業における労働実態を振り返るとともに、最近の法改正の動きを共有、今後の対応を議論した。冒頭あいさつした国交省の岡野まさ子大臣官房総括審議官は、「物流の機能を維持するには、トラック運送業の取引環境、労働環境を改善し、従事する方々が夢と誇りを持って働ける魅力的な職場にすること。荷主をはじめ関係者の協力が不可欠であり、2024年問題後の労働実態などを共有、議論し、さらなる改善を図りたい」と述べた。 厚労省の岸本武史労働基準局長は「時間外労働の上限規制適用後も、取引環境改善、処遇改善に向けた法改正など大きな変化がある。引き続き関係者と協力し、荷待ち・荷役時間削減など労働環境改善を進めていく」との考えを示した。関係各省庁と全日本トラック協会が取り組み状況を説明した。国交省が2024年度のトラック事業者への監査で、勤務時間等基準告示(新基準適用)の未遵守を指摘した事業者は358者(監査実施件数713者)だった。内訳は、1カ月の拘束時間109者、1日の拘束時間279者、休息期間259者、連続運転時間238者、休日労働18者となる。監査で未遵守を確認した事業者へのヒアリングからは、「積み込み時間が荷主都合で、荷待ちによる大幅な残業時間が発生」、「着荷主の物流センターのスペースが限られ、荷卸しに時間を要する」、「荷主から十分な高速道路料金の支払いを受けられず、休息期間が確保できない」など、原因が荷主都合によるものが多く見受けられる。
●「1日の拘束時間」未遵守が最多
全日本トラック協会による「第2回2024年問題対応状況調査」(調査期間5月26日~6月30日、回答数1552事業者)では、改正改善基準告示を「守れている」76・3%(第1回調査より6・2ポイント増)、「守れていない基準がある」23・7%(6・2ポイント減)だった。守れていない基準は「1日の拘束時間」が54・1%と最も多く、以下「1カ月の拘束時間」38・3%、「1日の休息時間」38・3%、「運転時間」36・7%、「連続運転時間」26・6%で、第1回調査と順位に変化はない。守れない理由は「荷待ち時間」47・0%、「長距離輸送等」36・1%、「休憩・休息場所がない」32・1%、「荷役作業時間」28・5%、「荷主や元請事業者が理解してくれない」27・7%など。第1回調査で最多の長距離輸送等は11・9ポイント減少し、6・1ポイントと増加した荷待ち時間が最多となる。なお、適正化事業実施機関が24年度の巡回指導において、勤務時間等告示違反で指摘した事業所は、4601所で全調査事業所数の17・1%。前年(4860所、18・9%)より減少した。主な指摘事項は、1日の拘束時間3014件(前年3253件)、連続運転時間1949件(2220件)、休息時間1560件(1808件)だった。
●「Gメンアシスタント事務局」を新設
荷主対策として、国交省ではトラック・物流Gメンの活動をより効果的に行うため、Gメンアシスタント事務局を今月設置した。Gメン活動で得た情報から、違反が発生する可能性が高い傾向などを把握し、効果的な是正指導に繋げる調査・分析を行う。セミナー開催、メディア配信、改善事例集の配布を通して、荷主等の行動変容を図る。厚労省では取引慣行改善へ、労働基準監督署による荷主への要請やトラック・物流Gメンへの協力、国交省と連携した周知広報を行っている。22年12月から始めた荷主への要請では、6月末時点で累計2万2417件を実施。長時間の恒常的な荷待ち時間を発生させないよう努めることや、運送業務の発注担当者に改善基準告示を周知することを要請している。

18日に開かれた中央協議会