23年度国内貨物輸送量、2年連続減少予測

NX総研、物価、原材料高が下押し

NX総合研究所(廣島秀敏社長)は5日、2023年度の国内貨物輸送量が前年度比0・5%減の41億7400万㌧になるとの見通しを発表した。前回12月公表を改訂した。マイナスは2年連続。コロナ禍後の世界経済回復に期待もあったが先行き不透明感は依然強いことに加え、原材料費および燃料価格高止まりが重くのしかかる。このことに伴い個人消費、企業の設備投資のマインドも上がらないことから全体的な輸送量の回復に力強さは戻らないと考える。23年度貨物輸送量見通し41億7400万㌧のうち、建設関連貨物を除いた輸送量では前年度比0・3%増の23億㌧と小幅な増加を見込んだ。公共投資にわずかなプラスを予測するも、住宅着工戸数は減少していくことなどから建設関連貨物は前年度に引き続きマイナスになると考える。消費関連貨物では、前年度の大幅減による反動で0・7%程度のプラスになりそうだ。ただし賃上げが叶わず物価上昇による個人消費の減速を懸念する。同じく生産関連貨物においても、原材料価格高騰に需要減を見込む企業の設備投資の動きはまだ回復しないと考える。挽回生産の期待も一部あるが、ここにきて半導体関連など日本を巻き込んだ米中貿易摩擦が厳しさを増しており、一層見通しが立たなくなっていることも不安材料。輸送機関別でみると、鉄道は前年度比0・5%減の3800万トンを見込む。そのうちJRコンテナは0・2%増と若干のプラスになりそうだ。トラック運送業界の24年問題の受け皿分など見据えた。営業用トラックは前年度と同様の25億6千万㌧と横ばいを見込んだ。そのほか内航海運は下期には石油関連の持ち直しや建設関連も寄与するとして0・7%増。国内航空は供給力の増加を見込むが輸送量は4%弱の増加にとどまりそうだ。コロナ前の7割程度の水準に落ち着くと考える。

●荷動き指数1‐3月急落
同日には荷主からの回答をもとに出荷量の実績と見通しの動向を示す「荷動き指数」の速報値も発表した。691社から回答を得た。それによると23年1‐3月実績はマイナス12を示した。10‐12月のマイナス3から9ポイントと急落。マイナスの水面下は22年4‐6月から4期連続となる。また、23年4‐6月見通しにおいてもマイナス5を示す。業種別でみると、気になるのが「食料品・飲料」で4‐6月見通しはマイナス12で3期連続の下降を描く。物価高に伴う消費減が出荷に影響している可能性を指摘する。また、「鉄鋼・非鉄」の1‐3月実績が前期より28ポイント下落しマイナス42に沈んだことも注目する。自動車など機械関連の悪化が素材関連貨物に影響しているとみている。