JP運送許可取消へ、国交省
不適切点呼問題で
日本郵便(JP)による不適切点呼の問題で、国土交通省は5日、同社の一般貨物自動車運送事業について、貨物自動車運送事業法に違反する行為が認められ、事業許可を取消す行政処分案を同社に通知した。処分案に対する聴聞を18日に関東運輸局で行う。日本郵便は4月、全国郵便局の75%にあたる2391カ所で運転手への不適切点呼があったことを公表、国交省が特別監査を進めてきた。処分基準は、1つの運輸局管内の全営業所の処分点数の合計が一定基準を超えた場合、全国の営業所を対象に許可を取り消す規定。監査で関東運輸局の違反点数がこの基準を大幅に超えた。許可取消処分は、トラック2500台程度の運送事業が対象。貨物法では事業許可が取り消されると、5年間は再取得ができない。処分が下れば同業他社などに業務を委託する必要があり、人材確保にひっ迫する物流業界において影響が出る。日本郵便の四輪保有台数は全国約3万6千台。今回はトラックの一般貨物であり、届出制の軽トラックは今回の処分の対象外だが、国交省では引き続き監査を進める。日本郵便は「全社をあげて点呼実施の徹底等再発防止に取り組み、信頼回復へ全力を尽くす」とコメント。約2500台の車両は比較的大量に荷物を差し出す一部顧客の集荷や、地方の近距離の郵便局間輸送の一部に使用しており「荷物に関する引受・輸送・配達に影響はない」としている。
●協力会社の確保に支援
中野洋昌国交大臣は6日の定例会見で、日本郵便への行政処分について、「点呼は安全管理の要であり、多数の営業所で点呼業務が適正に実施されずに事業が行われていたことは輸送の安全確保を大きく揺るがすもので極めて遺憾」とし許可を取り消す方針とした。物流への影響については「日本郵便において精査中と聞くが、まずは同社で安全確保に万全を期すべく、体制を再構築した上で物流サービスの提供に支障が生じないよう全力を尽くしてもらいたい。国交省としても協力会社の確保などに関して最大限の支援を行う」と述べた。