4項目で施策の方向提示、多重下請構造検討会
適正化2法の着実な施行
国土交通省は17日に開いた「第4回トラック運送業における多重下請構造検討会」で取りまとめ案を提示した。政策の方向性として、①川上を起点とする規律ある取引環境の形成、②川下における浄化作用の強化、③川上と川下をつなぐ取引ルートの拡大、④荷主側の意識改革の加速化――の4項目を示した。①~③項目は前回の論点整理でも示しており、今回新たに④項目を加えた。また、トラック適正化二法の成立により関連措置の着実な施行を盛り込んでいる。委員からは概ね賛同の意見を得た。①の川上起点の取引環境では、実態調査から大手元請事業者が原則2次請けまでの制限を設ける事例や、全ト協の提言(2次下請まで制限すべき)などから「重層構造事態を縮減、抑制するため一定の措置を義務付けることが適当」とした。さらに適正化二法の「再委託の回数を2回以内に制限する努力義務」に即した対応を進めた上で施行後の改善状況を注視し、「必要に応じてさらなる措置の導入を検討すべき」としている。利用運送の適正化では、改正物流法におけるトラック運送事業者への規制的措置(契約内容書面化、実運送管理簿作成)が、適正化二法では利用運送事業者も対象となる旨改正を行っており「法改正の効果を検証した上で、運送契約を締結せず仲介等その他の介在を行う者も含め必要な措置を検討すべき」とした。②の川下の浄化作用では、適正化二法の5年毎の事業許可更新制について「5年間で収受した運賃・料金が新たに定める適正原価を継続して下回ると更新しないこととするため、安価で条件の悪い仕事を引き受ける事業者の退出を促す効果が期待される」とした。③の取引ルートの拡大では、マッチングサイトのほか、中小運送事業者の協同組合と荷主との提携による仕組みも挙げ、「運送事業者間の共同受注やリソースの共有など、事業協同組合の枠組みをより有効に機能させる積極的な検討が望ましい」と記した。④は荷主側も「利用運送事業者のみに頼らない実運送事業者の顔が見える契約を原則とすることや、多重取引構造を前提としない輸送計画の作成・発注」などが必要とした。改正物流法による物流統括管理者の選任などの施策と併せ検討を深める方向を示す。