運輸・倉庫2カ月ぶり悪化、TDB4月景気動向調査

製造、建設の荷動き低下

帝国データバンク(TDB)が7日発表した4月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比1・4ポイント減の41・9と2カ月ぶりに悪化した。うち一般貨物自動車運送業の景気DIは1・5ポイント減の39・9と3カ月ぶりに悪化した。全体の景気DIは前月比0・8ポイント減の42・7と2カ月ぶりの悪化。コロナ禍の終盤にあたる2023年2月以来の水準まで低下した。「トランプ関税」による自社業績への影響や先行き不安から個人消費も伸び悩み、景況感が急速に冷え込んだ。特に自動車・鉄鋼関連では、輸出の停滞が目立った。海外経済の減速や税関手続きの混乱も重なり、荷動きは低調。個人消費の弱さや原材料価格の高止まりも逆風となった。世界経済の不確実性が高まるなか、国内景気は当面、弱含みで推移すると見る。4月の運種・倉庫は、燃料や人件費など引き続きコスト上昇圧力が下押し要因となったほか、トランプ関税の警戒心が強い製造業(景気DI1・1ポイント減)や、停滞感がみられる建設業(同0・8ポイント減)の落ち込みが荷動きに影響した。景気DI41・9は全体と同じく23年2月以来の低水準となる。各指標をみると、販売単価DIは60・0(前月60・7)、仕入単価DIは70・5(前月70・6)と高止まり。荷動きの低調から雇用過不足DIは正社員63・8(前月65・5)、非正社員57・3(前月58・7)と前月より下げたが、依然として高い水準にある。物流関係者からは「人件費、燃料などの諸経費の上昇が大きく利益が減少」(特別積合せ貨物運送)、「人手不足と仕入れ高による影響」(一般貨物自動車運送)など引き続きコスト増が収益を圧迫する状況であるほか、トランプ関税への懸念の声が多く聞かれる。 「価格転嫁が思うようにできないほか、トランプ関税も多少なりとも影響が出始めている」(港湾運送)、「円安、燃料・物価高のほかトランプ関税の影響も出てくる」(一般貨物自動車運送)、「為替や株価が安定するまでは時間を要する」(運輸に付帯するサービス)など見通しも厳しい。運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後43・5、6カ月後43・8、1年後44・8となる。