運輸・倉庫業28・8%、TDB価格転嫁調査

前回調査を下回る

帝国データバンク(TDB)が8月28日に発表した価格転嫁に関する実態調査(7月実施)によると、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す価格転嫁率は、全体で39・4%、運輸・倉庫業は28・8%で、ともに2月実施の前回調査を下回った。全体の価格転嫁率は2年半ぶりに4割を下回り、調査開始以来最低となった。定量的な説明が難しい人件費などの上昇分に対する転嫁が進んでいないことに加え、川下産業を中心に度重なる値上げに対する抵抗感からさらなる価格転嫁に踏み切れずにいるとみる。価格転嫁の推進へ、企業も消費者も値上げを許容できる環境の醸成が不可欠としている。価格転嫁の状況は鈍化している。表のように前回調査と比べ、全体、運輸・倉庫業とも「多少なりとも転嫁できている」割合が減少した。運輸・倉庫業は2024年問題を契機に徐々に価格転嫁を進める動きもみられているが、依然として燃料費の高止まりや重層的な取引構造が値上げ交渉を難航させていると分析する。項目別の価格転嫁率では、全体では主要4項目で前回調査より微増となったのに対し、運輸・倉庫業はいずれも前回調査を下回った。全体では4項目以外の要素も負担となっている可能性がある。地代やオフィス賃料、リース料、消耗品費などの価格上昇によるコスト負担増は商品・サービス価格に反映させづらく、全体の価格転嫁率を鈍化させている要因とみている。