物流革新の集中改革、物流・自動車局概算要求
商慣行見直し、行動変容を
国土交通省は、物流・自動車局関係の来年度予算概算要求で、物流革新、GX・DX推進、被害者救済・事故防止対策を柱とした。要求額は762億円で今年度当初予算額(674億円)の1・1倍。うち、物流関係は52億円で2・1倍。また、定員要求では軽貨物の監査体制や、改正下請法を受け、中小受託取引適正化法に係る体制を強化する。概算要求の内訳は一般会計45億円(2025年度当初予算15億円、24年度補正予算86億円)、自動車安全特別会計717億円(同659億円、35億円)。物流関係52億円は25年度当初予算(25億円)の2・1倍だが、24年度補正予算で97億円を計上している。事項要求として、一般会計から自動車安全特別会計への繰り戻しに加え、米国関税措置の新たな枠組みで輸入される自動車の安心・安全の確保を含む事故対策に必要な経費についても、予算編成過程で検討する。物流関係では「次期総合物流施策大綱の策定を見据えた物流革新の集中改革の推進」で51・6億円(25年度当初予算比12・1倍)を要求。内訳は「物流の効率化」44・3億円(1・9倍)、「商慣行の見直し」3・3億円(4・9倍)、「荷主・消費者の行動変容等」3億円(14・8倍)、「次期大綱の策定を見据えた調査事業」1億円(新規)。物流の効率化では、新モーダルシフトや基幹物流拠点の整備など「日本全体の物流ネットワークの再構築の推進」5億円、26年度以降レベル4実現に向けた「自動運転トラックの社会実装の推進」3・3億円、中小物流事業者の機械化・自動化支援や物流倉庫の外国人材の適正な受入環境を整備する「多様な担い手の確保・育成のための環境整備」4・7億円などを盛り込んだ。商慣行の見直しでは、来年4月1日の改正物流法の全面施行を見据え、荷待ち・荷役時間の短縮や、積載効率の向上等に向けた荷主・物流事業者に対する規制の執行体制を整備する。また、トラック適正化二法の施行へ、許可更新制度の導入に係る業務プロセスの検討や「適正原価」設定に向けた実態調査等を行う。さらに多重取引構造是正への事業者間の連携・マッチングへの環境整備や、トラック・物流Gメンの是正指導を的確に行うための調査を行う。荷主・消費者の行動変容では、物流統括管理者が主体となって複数の荷主・物流事業者間のデータの可視化・共有化を進める取り組みの支援や、再配達削減へ消費者が置多様な受取方法をより積極的に選択するための環境整備を推進する。
●軽貨物監査体制を強化
GXでは新規に「商用電動車の性能評価・導入促進事業」1億円を要求。商用電動車の導入ガイドラインの策定や、電動車の性能評価・公表制度創設への調査、バッテリー再利用実証などを行う。DXでは「自動車登録検査関係手続のデジタル化」で59・8億円(2・1倍)を要求した。事故対策では「自動車運送事業の安全総合対策事業」で19・1億円(1・1倍)、「自動車運送事業の安全対策事業」で3・9億円(1・1倍)と拡充する。定員要求は本省12人、地方運輸局・支局50人。次期大綱策定を見据えた物流革新の集中改革への業務体制を強化し、物流政策課に物流革新推進室を設置する。来年1月施行の改正下請法に対応し、貨物運送事業を念頭に中小受託取引適正化法に係る体制を強化、専任として運輸局係長9人を要求。また、軽貨物への監査体制を強化し、本省4人、運輸局9人、運輸支局8人を要求した。