横断的取り組み促進、農水・食品物流タスクフォース

全ト協、高速料金負担など要望

農林水産省は12日、農林水産品・食品の物流に関する官民合同タスクフォース(第7回)を開催し、全日本トラック協会が現状と対応を説明したほか、メンバー各団体が取り組みを共有した。冒頭、河南健大臣官房総括審議官(新事業・食品産業)が「物流の2024年問題について、今のところ輸送が確保できているが、今後さらに輸送力不足が見込まれ、効率化、省力化を図らなければならない。引き続き物流効率化への協力とともに、品目、業界を超えた横断的な取り組みをお願いしたい」と求めた。事務局(新事業・食品産業部食品流通課)が物流効率化法の努力義務(積載効率の向上等、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮)と農産物の特性である長距離輸送の削減について、産地→卸売市場、加工食品製造→加工食品卸、加工食品卸→小売の形態ごとに進捗状況を示した。産地側はパレット利用、卸・小売り側は商慣習が主な課題とし、引き続きパレット標準化、モーダルシフト・中継輸送、デジタル化、商慣習見直しの4本柱を推進する方向性を示した。全ト協は馬渡雅敏副会長が、会員へのアンケート調査から、改正改善基準告示が守れない理由に荷待ち時間や長距離輸送があることや、荷主との交渉では希望通りの運賃・料金が収受できていない現状を述べた。その上でトラック運送業界として、高速道路料金の負担、標準的な運賃・燃料サーチャージ、パレット化の推進、納品日時の分散・リードタイム延長の4点を要望した。併せて、飼料輸送ではドライバーが飼料タンクの高所作業を行っている現状を説明。老朽化や作業に支障をきたすタンクもあり、一斉点検を実施するなど労働環境の改善を求めた。
●荷待ち・荷役可視化
各業界の取り組みの中で、JA全農は、パレット化やモーダルシフトの推進とともに、物流実態の把握を目的としたシステムを開発し各拠点に導入する考えを示した。荷待ち・荷役時間を簡易に計測できるウエブ上のシステムで、ドライバーがQRコードを読み取り、スマホベースで作業開始時間・退出時間を入力することでJAの拠点管理者が荷待ち・荷役時間がどの程度発生しているのか把握する。日本スーパーマーケット協会は、SM物流研究会参加各社の取り組み状況を公表した。19社中、10月末時点で「加工食品定番商品の発注時間見直し」15社、「特売品・新商品発注・納品リードタイム確保」18社、「納品期限2分の1ルール採用」18社、「流通BMS導入」19社、「予約受付システム導入・活用」18社、「バラ積み納品の削減推進」18社で、未実施もほぼ年度内での実施を見込む。荷待ち時間では、9月計測で約99・0%のトラックが荷待ち1時間以内を達成。バース予約率の向上を挙げる。荷待ち・荷役作業等時間では約98・8%のトラックが2時間以内を達成した。