標準倉庫寄託約款を改正、国交省
業務実態合わせ取引適正化
国土交通省は、通達で定められている標準倉庫寄託約款を告示として新たに定めるとともに内容を改正する。制定(1960年7月)以降に実質的な改正は行なわれておらず、近年の業務実態や物流政策を踏まえた内容に改正する。物流改正法を受け、倉庫業者の附帯業務を明確化するほか、荷役・荷待ち時間の増大に繋がる緊急の入出庫オーダーには、別途料金を請求できることとする。受寄物の内容不検査、損害受寄物に関する権利の取得、寄託者の期限の利益の喪失など、既存の規定で曖昧、不十分であった規定の拡充、明確化を行う。近年の倉庫業界におけるシステム化した倉庫管理など、意思表示手段としてのFAX・電子データの明記や、システム障害時の一部業務拒否規定、在庫証明書についての規定、賠償額の限度に関する規定を追加する。2020年施行の民法改正で、寄託契約が要物契約から諾成契約に変更されたが、倉庫業界の実態を踏まえ、寄託物の引き渡しにより契約が成立することを明確化させる。その上で、諾成契約の取引形態である面積建保管は別途規定を設け、特約できることとする。倉庫業界では、標準倉庫寄託約款が業界の取引の標準として定着しており、寄託者との間で紛争を防止する機能を果たしてきた。しかし、制定から60年以上が経過し、実態に即さない規定や新たに生じた課題に対応していない規定が存在しており、寄託者との間で紛争の原因になっている。標準冷蔵倉庫寄託約款についても同様の措置を講じる。意見募集(12日まで実施)を踏まえ10月に告示、施行は26年4月1日予定。