搬送速度70~80㌔設定、自動物流道路検討会最終とりまとめ案
輸送量不足8~22%カバー
国土交通省は7月31日、第10回「自動物流道路に関する検討会」を開き、最終とりまとめ案を提示した。対象区間は東京-大阪を基本に関東・東関東や兵庫などへの拡大も検討する。搬送速度は現状のトラック輸送の速度を考慮し、時速70~80㌔を目指す。2030年代半ばまでに小規模な改良で実装可能な区間(先行ルート)で運用を開始する。昨年7月に中間とりまとめを行い、技術的な課題への対応、ビジネスモデルの構築など引き続き検討を進めてきた。最終とりまとめ案は20~30年後の日本社会を見据え、自動物流道路の役割を整理、今後の取り組み方針を示した。我が国の技術力を生かし、完全自動運転による物流全体の最適化、物流モードのシームレスな連結、カーボンニュートラルの実現、災害時の安定的な物流の確保を果たすべき役割と定義した。将来不足する輸送量の約8~22%をカバーする。ドライバーの労働時間で1日当たり約2万人~5・7万人、CО2排出量で年間240万~640万tの削減効果を見込む。対象区間は、中間とりまとめで示した東京―大阪間のほか、関東・東関東や兵庫県などへの拡大を検討する。荷姿については標準仕様パレット(平面サイズ、ロールボックス型含む)に統一し、高さは2・2㍍までを基本とする。これら提供するサービスは引き続きコンソーシアムでの議論を行い、具体化していく。今後、新東名高速道路の建設中区間(新秦野~新御殿場)等での27年度までの実験、30年代半ばまでの運用開始を念頭に、実証実験を通じ実現可能性を確認する。今年度は搬送機器の走行性能など6つのユースケースを設定した検証を11月から来年2月にかけて、国土技術政策総合研究所(茨城県つくば市)の試験走路で行う。9月5日まで参加事業者の公募を行っている。また、本線と拠点間の接続や、周辺の道路交通への影響、想定される物流量を搬出入するために必要な拠点規模の設置可能性などを検討するため、今年度中に4カ所の区間で整備イメージのケーススタディを実施する。今後、委員の意見を踏まえ最終とりまとめを公表する。引き続き検討会の議論は継続する。