仕入単価減も先行不透明、TDB6月景気調査
運輸・倉庫2カ月ぶり悪化
帝国データバンク(TDB)が3日発表した6月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・5ポイント減の42・3、うち一般貨物自動車運送業の景気DIも0・5ポイント減の40・1と、ともに2カ月ぶりに悪化した。運輸・倉庫の仕入単価DIは約3ポイント減少したが、「コスト上昇分に運賃相場が追い付かない」状況に加え、中東情勢による原油価格動向も下押し要因となった。全体の景気DIは前月比0・1ポイント増の42・7と小幅ながら6カ月ぶりに改善した。物価上昇で個人消費が低迷したものの、エアコンや医薬品、化粧品など季節需要の先取りがみられ、今年に入って初めて上向いた。見通しは、トランプ関税に関する日米交渉の行方や中東問題の緊迫化など不確実性が高まるなかで、当面は弱含みで推移するとみる。運種・倉庫の5月各指標をみると、仕入単価DIは64・3(前月67・2)に下げた。2カ月で6・2ポイントの減少。依然高水準だが、2021年9月(63・8)以来の低い数値となる。一方で販売単価DIも58・5(前月58・9)に下げ、3カ月連続の減少となる。雇用過不足DIは正社員64・0(前月64・1)、非正社員57・1(前月58・8)だった。荷動きに関しては、製造業の景気DIが9カ月ぶりに改善したが、建設業は横ばいと低調で物流の停滞につながっている。物流関係者からは「売り上げは増加したが、仕入れコストが上昇し利益は改善しない」(普通倉庫)、「改正物流2法で値上げの動きはあるが、値上げ幅が人件費・燃料費の高騰に追いつかない」(一般貨物自動車運送)などコスト増が収益を圧迫する状況が続く。「輸入もインフレで荷動きが悪く、輸出もトランプ関税でかなり減っている。コストだけが上がり、リーマン・ショック級の不況を感じる」(港湾運送)との厳しい声も聞かれる。見通しは、「トランプ関税の行方や建築土木物流の低迷、軽油を筆頭とした諸原価の高騰」(一般貨物自動車運送)、「トランプ関税や中東情勢の不安定化による影響」(普通倉庫)を懸念する。運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後44・0、6カ月後45・5、1年後45・6となる。