中小荷主への周知徹底を、次期大綱検討会
各業界から意見・要望
「2030年度に向けた総合物流施策大綱に関する検討会」の第4回会合が7月28日に開かれ、構成員のプレゼンで各業界からの意見、要望が聞かれた。トラックでは松浦通運の馬渡雅敏会長(全日本トラック協会副会長)が全ト協調査(5~6月実施)から時間外労働の上限規制(年960時間)は93%、改善基準告示は76%が遵守するが、一般則の720時間となればさらに運べなくなる危機感が強まると説明。さらに荷主調査(昨年11月実施)では物流効率化法を理解しているのは13・9%に留まり、とくに中小や地方など荷主への広範な周知を求めた。また、KPI(重要業績評価指標)に関し、物流効率化法の基本方針で示す「荷待ち・荷役時間計2時間以内」、「1回の受渡しごとの荷待ち時間の目標1時間以内」を基準としたものや、パレット化率、高速道路の利用率や料金収受率などで設定を要望した。モーダルシフトでは、 日本通運の杉山千尋代表取締役副社長が、鉄道利用が進まない要因に災害に対する脆弱性と、施設整備や輸送機材の普及を挙げる。利用促進へ、整備新幹線開業後の並行在来線の安定的運営や、特殊車両通行許可の課題解決への支援を要請した。栗林商船の栗林宏吉社長は24年度の長距離フェリートラック輸送が前年度比6%増(長距離フェリー協会調べ)、RORO船のシャーシ輸送は同3%増(日本内航海運組合総連合会調べ)と説明。さらなる促進へ物流事業者の受入環境整備、担い手確保・育成・労働生産性向上や、物流事業者の協業、荷主の行動変容促進を挙げた。倉庫では太成倉庫の鈴木又右衞門社長が次期大綱へ、荷主の努力義務の周知徹底、十分な価格転嫁と適切な料金収受の実現を要望。適正収受では貨物運送業に手当てされた制度と同様の効果を持つ措置の検討を求めた。日本物流団体連合会の河田守弘理事長は、輸送力不足対応への施策とともに、国際競争力の強化も次期大綱の要点に掲げ、外航海運、国際航空輸送の競争力強化へ方策を示した。