一般貨物3カ月ぶり改善、TDB8月景気動向調査

製造、建設業の物量上向き

帝国データバンク(TDB)が3日発表した8月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比1・0ポイント増の43・9と2カ月連続で改善した。うち一般貨物自動車運送業の景気DIは1・7ポイント増の41・7と3カ月ぶりに改善。製造業や建設業などの物量が上向いた。全体の景気DIは前月比0・5ポイント増の43・3と3カ月連続で改善した。米国の関税政策に不確定要因が残るものの、記録的猛暑の影響で飲食関連や熱中症対策商材、エアコンなどに特需が生じ、幅広い業種に波及した。公共工事の発注が続き全国の建設需要もけん引するなど上向き傾向が続いた。一方でトランプ関税をめぐる日米合意後の混乱は外需の逆風となったほか、屋外レジャーの低迷や価格転嫁の遅れが下押し要因だった。今後の国内景気は、実質賃金の行方を見極めつつ、当面は横ばい圏での推移を見込む。運輸・倉庫の景気DI43・9は昨年12月の45・7以来の改善水準。一般貨物自動車運送業の41・7も昨年12月の44・1以来の水準で回復傾向を示した。8月は特需もあるが、建築、製造業の景気DIが伸びており荷動きに寄与した。運種・倉庫の8月各指標をみると、仕入単価DIは65・9(前月64・8)に上昇、販売単価DIは58・7(前月58・6)と微増。雇用過不足DIは正社員64・6(前月63・6)、非正社員58・0(前月57・3)と不足感は強まっている。物流関係者からは「博多港取扱の外国貿易コンテナが輸出入ともに順調」(集配利用運送)、「中国への製造装置輸出や自動車関連の輸出入が若干復調」(沿海貨物海運)などの一方、「自動車産業の集積地では、トランプ関税の影響で減産状態が継続」(普通倉庫)、「国内消費や中国の景気低迷の長期化などで輸出入の荷動きの悪い状態が続く」(運送取次)など厳しい声も聞かれる。見通しでは「景気の上昇機運は感じないが、極端な悪化気配も感じない」(一般貨物自動車運送)のほかは、「トランプ関税対策として、売価の値上げや生産効率のアップと言われるが、どちらも困難な状況」(普通倉庫)、「アメリカや中国向けの輸出量が以前と同水準まで戻るか不透明」(組立こん包)、「価格転嫁が思うように進まない状況が続く」(港湾運送)など懸念が聞かれる。運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後45・8、6カ月後45・6、1年後46・8となる。