トラック適正化2法成立
ドライバー処遇改善へ前進、3年内に施行へ
トラック運送事業者の処遇改善に向けた貨物法改正と、これを担保する適正化新法が4日の参議院本会議で可決、成立した。全日本トラック協会の坂本克己会長は5日に都内で開かれた理事会で、「皆さんがエッセンシャルワーカーとして各地域で暮らしと経済を守ってきた底力によるもの。方向性が1つに定まった。真面目な事業者が報われるよう頑張ろう」と呼び掛けた。改正貨物法は、①5年毎の事業許可更新制の導入、②国土交通大臣が定める「適正原価」を継続して下回らないことの義務化、③再委託の回数を2回以内に制限する努力義務、④白トラへの貨物の運送委託禁止(罰則付)を柱とし、これらを担保する適正化新法は更新制の実現へ、必要な体制を整備する基本事項を定めている。坂本会長は理事会のあいさつで法案成立に言及し、「皆さんの手で仏を作った。ドライバーの給料が良くなり、併せて荷主、社会も良くなったとご利益になるよう魂を入れる。そのためにも現場の考え、所見をぶつけていただきたい」と述べた。「適正原価」が制定されれば、現行の「標準的運賃」が廃止される見通しだが、「適正原価の根っ子に標準的運賃がある。標準的運賃が影も形もなくなるわけではなく進化したもの。これからが勝負であり一丸となって頑張ろう」と協力を求めた。理事会であいさつした国土交通省の鶴田浩文物流・自動車局長は「昨年成立した改正物流法の荷主対策と両輪を成すのが今回のトラック適正化法。トラック運送事業者、ひいては暮らしと経済の発展に繋がる基盤となる。仏に魂を込めよう、意見を頂戴したい。汗かく方が報われる社会へ全力を尽くす」と述べた。国交省の三輪田裕子貨物流通課長が改正法の要点を説明。「適正原価」の設定は運輸審議会に諮られるが、「検討会を開くプロセスとなり、簡素で有効な方式をともに見出したい。標準的運賃の設定と同様に実態調査が肝となる。標準的運賃は目安だが、今回はさらに義務的な要素を伴い、皆さんからデータ提供の協力を頂きたい」と求めた。施行については「基本は3年以内で、その間適正原価の調査など様ざまな準備が必要になる。混乱のないよう政省令の整備、適正原価の告示をしっかり進めていきたい」と述べた。