トラック・物流Gメン取り組み可視化
国交省、行政指導指針として公表
国土交通省は、現在「トラック・物流Gメン」が実施する是正指導の考え方などを規定し、行政手続法第36条に基づく行政指導指針として公表する。是正指導の透明性や公平性を確保し、関係者からの一層の理解と協力を得るため。意見募集を行っており10月に公布、施行予定。適正取引を阻害する行為を是正するため、2019年7月から貨物事業法に基づき、荷主企業・元請事業者への是正指導を行ってきた。23年7月には「トラックGメン」を創設し、調査結果を是正指導に活用。昨年11月には「トラック・物流Gメン」への改組とともに、トラック協会の「Gメン調査員」とともに体制拡充を図っている。今後も荷主等に効果的な是正指導を実施するため、その考え方などを規定した行政指導指針を公表し、統一的な運用を行うこととした。具体的にはトラック・物流Gメンの是正指導の対象となる荷主等や、違反原因行為の種別、違反原因行為ごとの定義と考え方などを規定するほか、是正指導を実施する際の判断基準と手続き、改善内容の確認方法などを規定する。トラック・物流Gメンによる荷主パトロールや街頭活動に関する実施方法なども規定する。これらは既に内部のマニュアルとして全国統一的な運用を行っているが、対外的に公表し、取り組みを可視化する。また、トラック・物流Gメン、Gメン調査員に対する情報の提供方法や情報の取扱い、情報提供者への処理結果の通知制度などについても規定する。これらは通報側の要望を受けたもの。是正指導3段階の「働きかけ」、「要請」、「勧告など、各通知に関する様式例も示す。行政指導指針として、国交省や各運輸局ホームページなどでの公開が想定される。荷主等は、指導対象者に限らず、どのような行為が違反原因行為にあたるのかを予め確認できる。トラック運送事業者など通報側も今まで以上に情報提供がしやすい環境になる。
●「働きかけ」累計1668件、是正指導6月末
国交省によると、トラック・物流Gメンによる是正指導状況は、6月末累計で「働きかけ」1668件、「要請」187件、「勧告」4件となった。直近の4~6月では「働きかけ」162件、「要請」、「勧告」は0件となる。
累計件数の内訳は「働きかけ」が荷主1149件、元請459件、その他60件、「要請」は同99件、82件、6件、「勧告」は同2件、1件、1件。指導件数は11・12月の集中監視月間で大幅に増加するが、「働きかけ」については1~3月128件、4~6月162件と引き続き違反原因行為が確認される。違反原因行為の割合は、長時間の荷待ち48%、契約にない附帯業務20%、運賃・料金の不当な据置き16%など。運輸局別では表の通り。直近4~6月の「働きかけ」では、九州が65件と最多。次いで中部47件、関東24件、近畿13件など。累計件数の多い関東、近畿は1~3月に比べ減少し、九州と中部の伸びが目につく。北海道、東北、四国、沖縄は0件だった。全体の累計件数の都道府県別では東京都310件、大阪府153件、埼玉県123件、愛知県113件、神奈川県81件、千葉県79件、兵庫県63件、茨城県51件、新潟県50件となっている。トラック・物流Gメンの「集中監視月間」について、過去2年は11・12月に行ったが、今年は10・11月に前倒しする。冬期の実施よりも周知活動などを効果的に行う考え。