さらなる賃上げ・価格転嫁を、中野国交大臣
物流・荷主団体と意見交換
物流革新や価格転嫁・取引適正化・賃上げの実現に向けて、中野洋昌国土交通大臣と、荷主・物流業界等との意見交換会が15日に行われた。中野大臣は物流、荷主関係団体出席者からの意見、要望を踏まえ、「物流の持続的発展にはエッセンシャルワーカーである担い手のさらなる賃上げや環境改善で物流産業全体を魅力ある職場とすることが不可欠。改正物流法の施行に、下請法改正法案が準備され、荷主、物流事業者の連携は深まり、この機運を逃さず価格転嫁、賃上げに取り組んでほしい」と求めた。具体的には①下請法改正に関する十分な周知と施行前から早期の自主的な対応、②運送委託の際、実運送のコストを勘案した価格設定、③労務費の転嫁指針の趣旨を踏まえ、運賃収入の上昇分を担い手の給与引き上げに確実に反映させる――を要望。「いただいた意見を踏まえ、次期総合物流施策大綱の検討において、物流産業全体が持続的に成長し、担い手が明るい未来を描ける大綱となるよう有識者検討会で議論を重ねたい」と述べた。同席した庄子賢一農林水産大臣政務官は「北海道や九州など遠隔の大産地から大消費地に農林水産物、食品をいかに確実に届けるが大きな課題。荷主には物流の標準化、デジタル化、拠点整備による効率化やモーダルシフトを積極的に進めてほしい」など物流確保への積極的な協力を求めた。古賀友一郎経済産業副大臣は、「物流革新には荷主の協力が不可欠。物流の課題を荷主自らの問題ととらえ、荷待ち・荷役時間の短縮、積載率向上など物流の効率化、取引適正化を求める。関係省庁と連携し改正物流法の確実な執行や、昨秋開始した新東名高速の自動運転トラックの実証をはじめ様ざまな施策を通じて2030年に想定される輸送力不足に対応する」との考えを述べた。意見交換会には物流業界から真貝康一日本物流団体連合会会長、坂本克己全日本トラック協会会長、藤倉正夫日本倉庫協会会長など8人、荷主業界からは長澤仁志日本経済団体連合会副会長ロジスティクス委員長、折原敬一全国農業協同組合連合会経営管理委員会会長が出席した。