2024年問題へ挑戦、札幌で全ト協大会

1250人参加、諸課題に果敢に対応

全日本トラック協会、北海道トラック協会、札幌地区トラック協会は、「第28回全国トラック運送事業者大会」を4日に札幌市の札幌パークホテルで開催し、全国から1250人の事業者が参加した。国土交通省「トラックGメン」との連携や、「標準的な運賃」の活用と燃料サーチャージによる価格転嫁の実現、物流DX・GXの推進など大会決議を確認、諸課題に果敢に対応していく。冒頭、開催地を代表してあいさつした工藤修二北ト協会長は「北海道開催は3回目となる。2024年問題を始め取り巻く環境は大変厳しが、大会を通じて諸課題に対し再認識するとともに、力を合わせて課題克服に取り組み、広く荷主や一般社会にも業界の現状を周知し大きく前進したい」と呼びかけた。坂本克己全ト協会長は先日、岸田総理がトラックの現場を視察したことに触れ「現役総理としては初めてで、皆さんが社会インフラとして懸命に務めていることの評価」とし、政府の物流政策パッケージも期限が延長した標準的な運賃・荷主対策の深度化の議員立法の制度がベースにあり「皆さんの力でつくってきたもの」と重ねて感謝の意を述べた。一方、国交省や公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省など行政の荷主対策が進む中で、運送事業者からの情報提供が肝心であり強く協力を求めた。7月に始動した国のトラックGメンについても「せっかく皆さんの力でつくったルールであり活用してほしい。地元のトラックGメンに情報提供を」と求め、業界一丸となって「本大会がこれからの飛躍のきっかけとなるように」と望んだ。
●荷主の情報提供を
「アップデート」で進化「2024年問題への挑戦」をテーマにシンポジウムが行われた。大島弘明NX総合研究所常務取締役が事業環境を説明した上で「標準的な運賃」の活用など問題提起し、ドライバーの宮田彩さん(武田運輸)が長時間荷待ちや荷役の改善、ドライバーが安心して休憩できる施設など「大好きな仕事を続けられるよう力添えを」と現場の声を伝えた。これを受け、藤井聡京都大学大学院教授をコーディネーターに、小熊弘明国交省物流・自動車局貨物流通事業課長、佐々木達也読売新聞東京本社論説副委員長、鈴木重也日本経済団体連合会労働法制本部長、高岡美佳立教大学教授、坪田郁子全国消費生活相談員協会専務理事、馬渡雅敏全ト協副会長をパネリストに議論を展開した。送料無料表記の問題など荷主に一般消費者も含め、物流改善への意見が交わされた。荷主対策で小熊課長が「まず荷主としっかり運賃交渉し、問題があれば情報をいただき、トラックGメンが動く」と適正運賃収受の取り組みを促し、馬渡副会長は「行政がルール違反に厳しく対処しており中小も勇気をもって声を上げ、協会もそうした声を拾ってほしい」と望んだ。 記念講演会では「セイコーマート」を展開するセコマの丸谷智保代表取締役会長が「地域密着経営~道内産品を生かしたオリジナル戦略の展開~」をテーマに講演した。続いて鶴田浩久国交省物流・自動車局長、秋元克広札幌市長の来賓あいさつ、大会決議を行い最後に参加者によるガンバローコ―ルを行った。続く懇親会では鈴木直道北海道知事が歓迎あいさつし、津軽三味線・江差追分、きつねダンスなどアトラクションで場を盛り上げた。

参加者全員でガンバローコール