飲酒運転など4つのWG、国交省安全対策

事業者の実行性高める

国土交通省は自動車運送事業の安全対策として、新たに飲酒運転、ICTの活用による運行管理の高度化、乗合バスの車内事故防止、健康起因事故防止の4つのワーキンググループ(WG)を立ち上げ、それぞれ実効性ある方策を検討する。21日に開いた第1回「自動車運送事業安全対策検討会」でWGの設置や今年度の取り組みなどを確認した。これら個別案件はこれまでもWGや協議会などで対策を検討、各種マニュアルなど整備を図ってきたが、今後は取組内容やマニュアル記載事項を各事業者が活用し実効性を高める必要があるとし、新たに同検討会を発足した。その下に関係WGを配置し連携させる。今年度の取り組みとして飲酒運転では、依存症が疑われる運転者に対し、事業者が実効性ある対応をとれるよう「人」に着目した対策を行う。依存症の疑いを早期発見できるスクリーニング検査の効果的な運用方法を検討し、事業者自らが依存症の疑いのある運転者を発見し適切に対応できるよう「飲酒運転防止マニュアル」(仮)を作成。併せて飲酒運転防止に特化したセミナーを開催する。運行管理の高度化はこれまでの同検討会をWGに移管。継続して遠隔点呼の実施場所の拡大や業務前自動点呼の実証実験、運行管理業務の一元化に関する検討を進める。健康起因事故はこれまで協議会においてマニュアルの策定・改訂やスクリーニングモデル事業を行ってきた。WGではマニュアルの記載内容を確実に実施する手法等を検討。また、サブワーキングとして眼科健診普及へのモデル事業を行う。乗合バスの車内事故防止では2025年度までに同事故件数75件以下を目指し、運転者・利用者・一般ドライバーなどの行動変容に繋がる対策を検討する。
●軽貨物事故が増加傾向
自動車運送事業安全対策検討会では冒頭に自動車局安全政策課の永井啓文課長があいさつし「効果的な交通事故防止策を検討すべくあらためて本検討会を設置した。取りまとめた成果を次期事業用自動車総合安全プラン策定にも活かす」と方向性を述べた。座長には酒井一博大原記念労働科学研究所主管研究員を選任。また、2022年度に発生した事業用自動車の交通事故状況の報告があった。それによると、事業用自動車が第一当事者である人身事故件数は2万3259件で前年比5・6%増と2年連続で増加した。トラックは1万4383件(2・5%増)でほか各モードとも前年比では増加した。トラックは軽貨物の事故が全体を押し上げ22年度は396件増の5012件だった。死者数は事業用自動車全体で前年比21人減の228人、トラックは28人減の201人。