運輸業の景況DIが5年前水準に回復

全国中央会4月調査、収益状況は小幅改善

全国中小企業団体中央会(全国中央会)が25日に発表した4月の中小企業月次景況調査によると、前月に続き人流の回復で非製造業を中心に景況感は改善を示した。運輸業の景況DIは前月より3・4ポイント増のマイナス14・0となり、これは2018年4月(マイナス10・0)以来の水準。一方で収益状況DIの改善は小幅で、エネルギー・原材料価格の高止まりと人件費上昇への懸念が経営を圧迫する状況は続いている。全体ではコロナ感染対策の緩和やインバウンドの増加など人流の回復で、卸・小売業、商店街など非製造業を中心に引き続き改善を示した。全業種平均の主要DIは景況が0・1ポイント増のマイナス17・4、売上高が6・3ポイント減の2・7、収益状況が0・4ポイント減のマイナス23・1だった。運輸業の景況DIは4カ月連続の改善、前月のマイナス17・4は2018年12月(マイナス14・5)以来の水準と既にコロナ前を上回ったが、さらに上昇し5年前水準近くまで戻した。人流回復で観光や旅客の増加も大きいが、貨物関係者からも輸送量回復のコメントが聞かれる。運輸業の主要指標をみると、売上高は20ポイント上昇した前月に対しては11・9ポイント下げ7・0、収益状況は1・8ポイント増のマイナス19・4と4カ月連続改善で、マイナス10台に戻したのは19年2月(マイナス19・4)以来だが改善は小幅にとどまった。他の運輸業の指標では、販売価格が16・2(前月15・1)と上昇が続くほか、取引条件マイナス4・6(前月マイナス5・3)、資金繰りマイナス8・6(前月マイナス15・2)と改善。その一方で雇用人員はマイナス21・7(前月マイナス16・7)と悪化し人手不足、人材確保の問題に対する経営への影響は強まっている。貨物関係者からは「コロナが落ち着き工場の生産増で輸送量は好転、収益状況も荷主への価格交渉・転嫁による適正価格の収受は増加」との声が聞かれる一方、「4月からの値上げが荷動きに影響。24年問題を控え増員と値上交渉を進めるが、募集の3分の1程度の応募で増員に苦戦」、「運賃を値上げして頂いたが、まだ十分な水準でない。人件費も上がり燃料価格も高値推移」と収益面では依然厳しい状況が続いている。