運輸業の半数復調できず、コロナ前比

自工会「普通トラック市場動向調査」

日本自動車工業会(豊田章男会長)がまとめた、2022年度「普通トラック市場動向調査」の結果によると、運輸業の半数は売上高・輸送業務件数ともにコロナ前より減少し、自家用と比べても厳しい状況が続いている。一方で大規模事業所や、経営が好調な事業所のトラック購入意向は高い傾向がみられた。調査は隔年で実施しており、今回は運輸業(有効回答事業所952)、自家用(同280)のほか、4年ぶりに荷主(同256)調査も行った。ユーザー・荷主調査とも昨年8月下旬から10月上旬に実施した。運輸業はコロナ前と現在を比較し売上高が「減った」は55%(自家用42%)、輸送業務の件数が「減った」は49%(同22%)。輸送量、運行回数ともに運輸業は半数前後が「減った」と回答し、自家用に比べてこれらの割合が高い。最近の経営状況が「好転」した事業所は運輸業15%で、2年前の前回より4ポイント減少、16年度以降最も低い。「悪化」は53%で前回とほぼ同水準。自家用は「好転」30%で前回より10ポイント増加し、「悪化」は34%と10ポイント減少した。運輸業は前々回(18年度調査)から減少傾向が続く一方、自家用は前回から増加しコロナ禍から回復の兆しがみえるとしている。2年前と比べた荷扱量水準は、運輸業平均で前回92・0%から93・0%と同水準だが、自家用は92・5%から99・2%と増加した。運輸業では現在のトラック稼働状況の「繁忙」の割合が前回より増加するが経営状況の好転には至っていない。ただ需要動向では、大規模事業所、経営が好調な事業所でのトラック購入意向は高いとみている。運輸業の現保有車の購入形態は「代替」が中心だが、18年までと比較して20年以降は「代替」が減少、「増車」としての購入に増加傾向がみられた。運輸業のこの2年間のトラックの保有台数は、「増えている」は22%で前回から5ポイント減少したが、今後5年間の台数の増減意向は「増やす」が26%で前回と同程度。10台以上事業所ではこの2年間「増えている」割合が9台以下の事業所を10ポイント以上上回る。今後5年間「増やす」割合も保有台数の多い事業所ほど「増やす」割合が高い。経営状態が良くなっている・やや良くなっている事業所で「増加」の割合も、この2年間で30~40%台、今後5年間は約50%となっている。

●「運賃面の融通」が上昇、荷主調査
荷主への調査では、輸送委託先数の平均は8・2社で前回より2・4社減少した。輸送委託先を選ぶ理由は、「時間指定・緊急輸送に対応」、「地元の業者」がともに約5割と高く、次いで「全国ネットワークがある」「運賃面で融通がきく」が約4割で、「運賃面で融通がきく」は18年より10ポイント増加している。輸送委託先を替える理由は、「運賃面で折り合いがつかない時」(51%)が最も高く、次いで「時間指定・緊急輸送に対応できない時」(41%)、「事故やトラブルなど、安全面で問題が見られた時」(37%)が続く。2年前の輸送料金を100とした場合の現在の輸送料金水準は、平均106・1%で14年・16年と比較すると高くなっている。