運輸・倉庫4カ月ぶり改善

TDB3月調査、年度末需要で上向き

帝国データバンク(TDB)が5日発表した3月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比3・2ポイント増の41・2と4カ月ぶりに改善した。季節需要が起因してトラック輸送を中心に荷動きが高まり、倉庫業も上向いた。仕事量は回復しつつも、燃料費高騰や人件費増などは引き続き不安定要素となっている。全体の景気DIも前月比1・8ポイント増の43・9と4カ月ぶりに改善。マスク規制の緩和で消費者のマインドが高まり、春休みや歓送迎会、引っ越しなど季節需要も重なり人流が増加し、企業活動へプラスに作用した。一方、仕入れ価格の高止まりや人手不足・技術者不足による機会損失の発生は悪材料だったほか生活必需品などの高騰継続はマイナス要因となった。今後は、原材料価格高騰など下振れ要因はあるものの、おおむね横ばい傾向で推移するとみる。運輸・倉庫業界の景気DIは直近では昨年11・12月の41・6に次ぐ水準まで戻した。年度末需要で消費や経済活動が上向き荷動きにプラスとなった。調査対象の約6割を占める一般貨物自動車運送の景気DIも前月比2・6ポイント増の39・4と3カ月ぶりに改善した。運輸・倉庫業界の各指標はグラフの通り。仕入単価DIは67・8(前月68・4)と依然高水準、販売単価DIは56・9(前月56・8)と小幅ながら前月の過去最高値をさらに更新した。雇用過不足DIは正社員64・6(前月62・7)、非正社員57・9(前月57・4)と人手不足感がさらに高まっている。貨物関係の事業者からは「年度末の公共工事の集中、民間企業の駆け込み発注、引っ越し関連の物流が増えている」(一般貨物自動車運送)、「港湾・車両共に荷動きが増加」(普通倉庫)など物量は上向き。また「24年問題で物流がひっ迫し、運賃交渉がしやすくなると、ドライバーの待遇も改善でき採用もしやすくなる」(一般貨物自動車運送)など期待も聞かれる。一方で「コロナ禍・原油高・働き方改革で景気は良くない。賃金アップに協力したいが、原資が確保できない(一般貨物自動車運送」や「中国の景気が浮揚しない限り良くならない。CО2問題で生産量の減少が考えられる」(港湾運送)など懸念も引き続き聞かれる。TDB調査による運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後44・2、6カ月後46・4、1年後48・2となっている。