運輸・倉庫3カ月ぶり改善、TDB10月景気動向調査

販売単価DI過去最高更新

帝国データバンク(TDB)が6日発表した10月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比1・3ポイント増の44・1、うち一般貨物自動車運送業は0・6ポイント増の39・8とともに3カ月ぶりに改善した。物流の回復など需要の増加を実感する声があがった。引き続きコスト増加の影響を受けるが、燃料に係る政府の補助金は一定の効果もあった。運輸・倉庫業界の販売単価DIは先月に続き過去最高を更新した。全体の景気DIも前月比0・3ポイント増の44・7と小幅だが3カ月ぶりに改善した。活発な各種イベントやインバウンド需要に加えて半導体関連などがプラス材料となった。他方、原材料価格の高止まりや人手不足、在庫増による生産調整、生活必需品の値上げなど下押し要因との好悪材料が交錯する状態が続いた。今後は海外情勢のリスクを抱えつつも個人消費と設備投資が下支えし、横ばいで推移すると見ている。運輸・倉庫業界の景気DI44・1は直近では7月の43・5を上回り2019年11月(45・1)以来の水準、コロナ禍以降では最も高い。一般貨物はコロナ前水準に戻した今年5月(41・4)には未達である。運輸・倉庫業界の各指標はグラフの通り。販売単価DIが59・7と前月(58・8)に続き過去最高を更新。仕入単価DIは69・1(前月71・1)と2カ月連続で減少した。雇用過不足DIは正社員63・9(前月63・5)、非正社員57・9(前月58・6)だった。貨物関係の事業者からは「百貨店、商業施設、小売業等に関する物流が回復」(一般貨物自動車運送)など需要の増加を実感する声や、「2024年問題が迫るなか問題意識が向けられ追い風。運賃交渉もほぼ一巡し、十分ではないが収益は改善しつつある」(一般貨物自動車運送)など聞かれる。年末需要も含め物量ではプラスの声が聞かれる一方で「24年問題が本格化し拘束時間規制、ドライバー不足が顕著に現れる」(一般貨物自動車運送)、「国際情勢や物価高の影響、人手不足もあり価格転嫁が進まない中で人件費が高騰」(こん包)など24 年問題への危機意識も高まっている。TDB調査による運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後45・4、6カ月後46・1、1年後46・8となっている。