運輸・倉庫3カ月ぶり改善、TDB3月景気動向調査
販売単価DI過去最高60超
帝国データバンク(TDB)が3日発表した3月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比1・2ポイント増の43・1と3カ月ぶりに改善した。販売単価DIが過去最高の60・5となった。一般貨物自動車運送業の景気DIも1・2ポイント増の40・2と3カ月ぶりに改善。製造、卸売、小売の景況感が改善したことで、関連する物量も増加した。全体の景気DIは前月比0・5ポイント増の44・4。国内景気は金融政策の正常化がスタートしたなか、好調な観光産業やインバウンド消費の拡大などが好材料となり、3カ月ぶりに上向いた。春休みを迎え個人消費関連の業種が上向き10 業界中8業界が改善した。今後の景気は、金利の動きが注目されるなか、個人消費を中心に緩やかに持ち直すと見込む。一方でTDBが試算した賃上げ率は平均4・16%。高水準の賃上げが期待されるが、中小企業を中心に賃上げに対する厳しい声もあげられた。運輸・倉庫業界の景気DIは物量の低迷で今年に入り悪化したが、3月は上向いた。売上DIが51・9と、良い、悪いの境を示す50を3カ月ぶりに超えた。ほか各指標はグラフの通り。販売単価DIが60・5(前月59・2)と2023年10月の59・7を超え過去最高となった。一定の価格転嫁が進んでいることが伺える。一方で仕入単価DIも67・4(前月67・0)と依然高水準。雇用過不足DIは正社員63・9(前月63・7)、非正社員57・8(前月57・6)と人手不足感も引き続き高い。物流関係者からは「運賃への転嫁が引き続き難しく、原価上昇に歯止めがかからない」(一般貨物自動車運送)ほか、「荷主企業の生産が戻らない」(同)、「主要アジア地域の継続的な不況等で取扱いが伸び悩む」(港湾運送)など荷動きでも厳しい声が聞かれる。先行きは「自動車関連が堅調」(普通倉庫)、「価格改定による売上高の増加を見込む」(集配利用運送)など期待の一方、「物流の停滞や資源高騰、中国景気の悪化の影響」(組立こん包)、「2024年問題で、人手不足、人件費高騰、燃料が高止まっている」(一般貨物自動車運送)など引き続き多くの懸念を抱える。運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後45・0、6カ月後46・8、1年後47・8となっている。