運輸・倉庫2カ月連続悪化、TDB9月景気動向

販売単価DIは過去最高

帝国データバンク(TDB)が4日発表した9月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月比0・4ポイント減の42・8、うち一般貨物自動車運送業は0・5ポイント減の39・2とともに2カ月連続で悪化した。販売単価DIが過去最高の58・8となったが、エネルギー価格の高止まりに人件費増、2024年問題への影響など引き続き懸念材料となっている。全体の景気DIも前月比0・5ポイント減の44・4と2カ月連続で悪化。3年5カ月ぶりに全10 業界で悪化した。エネルギーコストの高止まりに加え、生活必需品の値上げによる節約志向の高まりが下押し要因。海外経済の停滞も加わり、小幅ながら広範囲の地域や業種で下落傾向が続いた。好材料は半導体不足の緩和による好調な自動車生産など。今後は賃上げの継続がカギとなり、価格転嫁による企業の財務改善と家計の節約志向が交錯するなかで、横ばい傾向で推移するとみる。運輸・倉庫業界の各指標はグラフの通り。販売単価DIが58・8(前月(57・7)と今年6月の58・3を上回る過去最高となった。仕入単価DIは71・1(前月71・7)と4カ月ぶりの前月比減だが依然高い水準。雇用過不足DIは正社員63・5(前月63・9)、非正社員58・6(前月58・5)。また、時間外労働時間DIが50を下回る傾向が続いている。50を下回るのは時間外労働時間が前年同月より減少しており、これは2024年問題を控えてていることが示唆されるとみている。貨物関係の事業者からは「インボイス対応や燃料高、人件費増、2024年問題の影響」(一般貨物自動車運送)、「特に関連する中国、韓国の景気が悪く、主力のコンテナの取扱量が回復していない」(港湾運送)、「原油高など諸物価高に価格転嫁が追いつかない。輸配送費の値上げも顕著で消費も悪く、荷動きが悪い」(こん包)など依然厳しい声が聞かれる。見通しでは「冷凍食品に対する需要の増加が継続」(冷蔵倉庫)などの一方、「ガソリン代の高騰やインボイス制度の開始による影響」(特定貨物自動車運送)、「中国の景気減速でマイナスの影響」(港湾運送)など引き続き懸念材料が多い。TDB調査による運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後46・3、6カ月後46・0、1年後47・9となっている。