運輸・倉庫景気横ばい TDB12月調査
仕入れ・販売単価とも下降
帝国データバンク(TDB)が発表した12月の景気動向調査によると、運輸・倉庫業界の景気DIは前月横ばいの41・6だった。仕入単価DIが69・7(前月70・3)と2021年10月以来の70台割れとなったものの、販売単価DIも55・8(同56・3)に下げ、依然として価格転嫁が進まず収益面での懸念が聞かれる。全体の景気DIは前月比0・1ポイント減の43・0。生産コストの上昇や生活費の高まりなどで5カ月ぶりに悪化した。仕入単価DIが10 業種で最高水準となるなど原材料価格の高止まり傾向に加え、新型コロナの感染者数の増加も悪材料となった。今後は、実質利上げの影響や海外経済情勢などに左右されながら概ね横ばい傾向で推移するとみる。運輸・倉庫業界は調査対象の約6割を占める一般貨物自動車運送が年末の需要増もあり前月比0・2ポイント増の41・0。小幅ながら6カ月連続の改善で昨年12月(41・3)以来の水準に戻した。運輸・倉庫業界の各指標はグラフの通り。仕入単価DIは昨年3月がピークで前月比では3カ月連続減少。販売単価DIは昨年10月に過去最高を更新したが2カ月連続で下げた。このほか雇用過不足DIは正社員63・2(前月62・7)、非正社員57・5(前月58・3)となりとくに正社員の人手不足感が高まっている貨物関係の事業者からは「物量はほぼ新型コロナ前に戻っているが、燃料高騰をはじめ各種仕入単価の上昇やドライバー採用難で問題は山積する」(一般貨物自動車運送)。物量の回復もコスト高と人手不足が引き続き大きな課題となっている。先行きは「賃上げが進み、消費者の購買意欲が回復することで発注量も増加が見込まれる」(集配利用運送)との期待感の一方、「様ざまな経費を販売価格に転嫁しきれず増収減益の予想」(一般貨物自動車運送)、「法人税や諸物価高騰、新型コロナ、ウクライナ情勢による消費低迷など懸念材料が多い(普通倉庫)、「政府や自治体の施策がないと経営状況の悪化は止められない」(組立こん包)など厳しい声が聞かれる。TDB調査による運輸・倉庫業界の景気DI見通しは、3カ月後42・4、6カ月後43・7、1年後46・7となっている。