荷主と果敢に交渉を 全ト協総会で坂本会長

国が適正運賃収受後押し

全日本トラック協会の坂本克己会長は6月30日に都内で行われた通常総会の冒頭挨拶で、トラック運送事業者が荷主から適正運賃を収受できるよう関係省庁が後押しする体制を強めていることに言及し、「国がここまで腹をくくるケースはない。荷主に対し果敢に交渉してほしい」とし、あらためて標準的な運賃の届出と燃料サーチャージの活用を求めた。坂本会長は事業環境にふれ「輸送量にようやく回復の兆しが見えてきた中、ウクライナ情勢、円安、原材料の値上りがあり思うように回復していない。しかし、いずれ回復を期待し反転攻勢の思いで臨む。そうした中で2人のドライバーを求めるのに1人しか応募に来ない状況にある。トラック運送業を魅力ある業界にしていこう」と呼び掛けた。昨年末に総理官邸で行われた「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化会議」において、坂本会長は「交渉力のないトラック業界が荷主から適正運賃を収受する。社会インフラを担う真面目な事業者が事業展開できるよう国のバッグアップが必要と訴えた」。同会議をもとに荷主所管の経済産業省、農林水産省や公正取引委員会が連携し踏み込んだ対応をとり、公取委は荷主と物流事業者との取引調査結果をもとに荷主640件に注意喚起文書を送付している。さらに改善基準告示見直しの検討において厚生労働省も荷主対応案を示すなど行政の動きにふれ「不当な荷主については各行政に窓口があり情報を伝えてほしい。標準的な運賃、燃料サーチャージと外堀は埋まった。果敢に荷主と交渉する。ここは土俵に上がって勝負に出てほしい」と促した。燃料高騰対策においても昨年12月に自民党本部で決起大会を行い、国の激変緩和措置に反映された経緯を述べながら「地方創生臨時交付金は1台当たり支給が分かりやすいが、県によってばらつきがある状況。まだまだ燃料は上がっており、だからこそ標準的な運賃とサーチャージについてしっかりと荷主と交渉してほしい」と強く求めた。
●新任自動車局長・道路局長が挨拶
通常総会では2021年度決算など全議案を承認・可決した。役員改選期ではないが、副会長で秋田進氏(日本通運)が退任し中村栄一氏(同)を選任。常任理事で角田正一氏(千葉ト協)、藤原利雄氏(全ト協)が退任、甲斐切稔氏(滋賀ト協)、山﨑寛氏(全ト協)を選任した。また全ト協常務理事の山崎薫氏、松崎宏則氏はそれぞれ専務理事に、調査役の山﨑寛氏は常務理事に就任した。来賓挨拶では6月28日付で自動車局長に就任した堀内丈太郎氏、道路局長に就任した丹羽克彦氏が挨拶した。「燃料価格上昇分が適切に運賃に反映転嫁されるよう引き続き関係省庁とも連携して荷主等関係者へ周知するとともに、改正事業法に基づく荷主への働き掛け、取引適正化に努めたい」(堀内局長)、「トラック輸送の生産性向上、輸送効率化の支援へ大口多頻度割引の最大50%拡充措置を23年3月まで継続した。引き続き、より安全・安心かつ快適に利用いただく道路を目指し様ざまな取り組みを進めたい」(丹羽局長)と抱負を述べた。