物流の〝整流化〟方策示す

東商が中小流通・サービス業の課題解決へ提言

東京商工会議所(三村明夫会頭)は、「中小流通・サービス業の生産性向上と新たな価値創造に向けた提言」を取りまとめた。商流・情報流・物流の3つの側面で課題解決への方向性を整理したほか、デジタル化とサプライチェーンの改善へ、「協調の基盤づくり」、「デジタルシフトの加速」、「地域の視点に立ったネットワークの構築」の3つの視点から具体的な方策を提案した。流通・サービス委員会が2月に実施したアンケート調査や業界団体等へのヒアリング結果を踏まえたもの。商流、情報流、物流についてそれぞれ課題解決への「整流化」の方向をまとめた。物流の整流化は「効率化・標準化に向けた荷主企業との連携による諸課題の克服」をあげる。トラック運送業の人手不足に、EC市場拡大による多頻度・小口配送で業務効率化が進まない状況の中、荷主側にも十分な理解を促し、ともに改善を図ることが不可欠とした。荷主へのアンケート調査でも物流コスト増加傾向の声があがり「荷主企業にとってもマイナスで、取引構造全体で解決していくことが急務」とする。一方、トラック運送業界のヒアリングでは、従来からの商慣習で取引適正化が進まないこと、人手不足や労働条件の改善に対する荷主側の理解、中小・零細企業が多い物流企業のデジタル化への後押し、パレット標準化への構造的な課題、行政主導の共同配送・モーダルシフト推進などを訴える声があがっている。2024年問題も踏まえ「荷主・物流双方が物流事業者の労働環境改善、下請け構造改革に取り組むとともに、需給ギャップ、配送コストの改善に取り組むことが極めて重要」と双方による環境改善・標準化を促す。地域ネットワークの構築に向けては「地域共同配送プラットフォームの形成により、地域への収益還元、物流効率・物流サービスの向上が期待できる」とし、多様な関係者の連携や国による環境整備の必要性を示した。